アナルヴァージン喪失 (3)-4
この日最初のセックスが終わって小休止。
おしゃべりしたりペットボトル飲料を飲んだり、気のおけない恋人同士といった雰囲気がイヤホンからも伝わってくる。
もともと身体の相性は抜群で、別れる直前の倦怠期でさえ会えばセックスだけは楽しんでいたゆきとＦ。その二人が、結婚とか価値観とか難しい話抜きに付き合えるようになった今、性行為がエスカレートしていくのは当然である。Ｆと再会した時点で、ゆきがアナルヴァージンを奪われる未来は確定したのかもしれない。
「お尻の穴もだいぶほぐれてきたね。今度はこれを入れてみよう」
「なに……？ それ」
「浣腸だよ」
いよいよはじまる本格的なアナルプレイにとまどっているのか黙ってしまったゆき。私と初めてしようとしたときも一度しているので、浣腸は知っているはずである。
「お尻突き出してごらん」
「ぇ？ その……自分で、トイレでしてきちゃだめ？」
「俺はゆきに浣腸したいな。四つん這いで浣腸されてる恥ずかしいゆきの姿を見せてよ」
恥ずかしがる妻を余計に恥ずかしがらせるようなことをいうＦ。
「ゆきのすべてが好きなんだ。仕事の打ち合わせでの清楚で凛とした姿も、デート中のはにかんだような甘えた顔も、ベッドでのいやらしい姿も、お尻をつきだして恥ずかしそうにしている姿も」
「……」
「ほら、お尻を俺にむけて四つん這いになってごらん」
「…………」
「こんなことする俺のこと、嫌いになっちゃったかな……？」
「なった。Ｆくんなんて……大嫌い……」
「ゆき……ありがとう」
憎まれ口を叩いているくせに、結局言うことを聞いたのか。愛する妻が、Ｆに浣腸されるために尻を向けて突き出し四つん這いになっている。
「チュ……」
「あ……」
「本当に綺麗なアナルだよ。ゆきのこと愛してるのと同じくらい、この穴のことも愛してる」
「恥ずかしいから早くして……」
浣腸の細い先端が妻のアナルに埋め込まれ、浣腸液が腸内へと注入されていく。
「あぁ、入ってきてる……いやぁ」
戸惑いと恥ずかしさを笑みでごまかすような嬌声が聞こえてくる。
「どんどん入っていくよ」
「いゃぁあああ……変な感じ……！……うぅ……」
「はい終わり。全部入ったよ」
「終わった？ もう四つん這いやめていい……？」
「だめだよ、これからこうするんだから」
「ぁあああああああだめ…………！ そんなのやめてぇ！ 出ちゃうぅぅ！」
「よくほぐしておかないと。もよおしてきたら教えてね」
「いぃぃぃぃやぁああああああ」
マッサージをされている。
「あぁ……ぁああああぁ……ぁあああ……Ｆくん出ちゃう！ ぁああん！」
「可愛い可愛い可愛い、ゆき本当に可愛すぎるよ！ 大好きだよ！」
「んん……だめぇ……お腹痛いよぉ……」
「ゆきに浣腸できるなんて、最高すぎるよ」
「あ……あの……そろそろ本当に……ぁあん！ おトイレ行かせて……！」
＊
ゆきがポーチを持ってトイレに入ったせいで、私には排便の音がまる聞こえとなった。今までは、さすがにゆきが可哀想なので聞かずに我慢していたのだが、決して興味がないわけでもなく、この日は怖いもの見たさ半分でついに聞いてしまった。結果は、「プシャー」と薬液が勢いよく排出される音が水を流す音に混じって聞こえてきただけだった。最近のゆきは、もうデート前に腸内洗浄を済ませているのかもしれない。
ホッとしたような残念なような複雑な思いでいると、ゆきから《パパ何してるの？？？》というメッセージが来て思わず飛び上がってしまった。
《ゆき！ メッセージ嬉しいよ！ もうホテル入った？》
冷静に考えればバレるはずがない。大丈夫、落ち着こう。
《入ったよー。もう一回しちゃった》
《えぇもう？ ゆきってなんですぐそうやってヤラれちゃうの？ Ｚともそうだよね》
《わかんない。すぐ襲われちゃうのって変かな？ 今日は夕方まで一日中しようって》
《ゆきが俺の知らないところで一日中セックス！ 想像して辛い……》
《もっと想像して！》
《またサービスショットくれたら》
《今裸だから無理》
《は、裸！ せめて顔だけでも……おねがいします……》
かすかに上気した顔のゆきの写真が送られてきた。乱れた髪を手ぐしでささっと整えた感じがなんともリアルで生々しい。わずかに写った肩には黒いフリルのついたブラジャーの肩紐が見えていて、清楚な雰囲気のゆきの顔と好対照をなしていた。
この写真の美人妻が、今から人生で初めてのアナルセックスをする。可愛らしい顔を恥じらいで歪ませ、夫以外の男の陰茎に可憐な肛門をギチギチに押し拡げられ、直腸にねじ込まれる。その哀れな姿はやがて、全世界に向けて無修正動画として公開されるのだ――。