特別な後輩-1
今でも良く覚えている中学三年の夏になる少し前
連日の雨で気分も鬱になるそんな時期の事だった。
「山口先輩 少しお時間頂けますか?」
一年の女子が帰ろうとする俺に下駄箱の前で声を掛けて来た
「ああぁ それは良いけど何ッ?」
女子から声を掛けられて驚いたし憂鬱な天気に少し不機嫌な雰囲気で応対してしまった
「ありがとうございます 私 1年3組の山本愛子です」
「そうなんだ 山本さんね 丁寧な紹介ありがとう」
「後輩ですから 愛子でいいです みんなも愛子と呼びますから」
「そうかぁ〜 なら愛子ね それで要件は?」
「はい 私は山口先輩の事を小学校の時から見ていましたステキな方だと思って」
後輩の愛子は、今まで俺を見て来てこんな事をした、あんな事があったと一気に話し
今日まで自分なりに考えて声を掛けたと言う。
俺は嬉しさと恥ずかしさが入り混じった感情で少し冷たく返事した
「それで何ッ?」
「特別な後輩、妹分として今日から付き合って欲しいです」
好きだけど彼女ではなく特別な後輩の立場を認めて欲しいと言うのだ
特別目立つ様な可愛さや派手さはなく普通の女子 大人しい感じが第一印象だったが
変わった事を言い出す面白い子だと思った。
何年も先輩を見て来て勇気を出して今日初めて声を掛けた。
先輩は少し驚いた顔をしたが 丁寧に対応してくれた
少し冷たい言い方をする人だと判っていたので私は驚かなかった
話はちゃんと聞いてくれて見てきた通り優しい人だった
私の変な言い方のお願いにも真剣な難しそうな顔で考えて答えをだしてくれた
「ならぁ 特別な後輩であり妹分だな 愛子は今日から」
「ええ先輩ッ それでお願いします」
先輩は愛子の事を知らないから色々と教えて欲しいとその日は先輩の傘に入れてもらい
2人で話ながら帰った。
先輩の肩が雨で凄く濡れていた事は知っていたが
紳士なエスコートぶりも先輩の優しさだった
〜あれから3年〜
先輩を追いかけて私も同じ高校に入学することができた。
高校でも先輩は優しかった。そして彼女が居てオトコになっている様子だった
「愛子ぅぅ山口先輩って彼女さんいるんだよっ 知っているの?」
「勿論ッ知っているよぅ」
「噂だと桜ノ園女子大附属のお嬢様って聞いたけどぉ〜」
「そうだよッ会ったことも何回もあるし凄く美人だよ」
「それでいいのぉ〜 彼女さんいてぇ〜」
「私は彼女ではなくて 特別な後輩だからいいんだよ」
「それじゃぁ〜日陰の女じゃない?」
「私はそれでお願いしますと先輩に言って今まで仲良くしてもらっているの」
「ああぁぁ〜友達は先輩の愛人かぁ〜(笑)」
「やだぁ〜愛人なんてぇ先輩に迷惑ッ」
「ああぁぁ愛子は完全に愛人の発言だねぇ」
愛子は友達から愛人と言われ少し嬉しかった
確かに特別な後輩よりもう少し大人の先輩の愛人も悪くないと思っていた。
「おおぃ山ちゃん山ちゃん 彼女をさっき1年の廊下で見たぞッ」
「ああぁ愛子かぁ〜」
「そぅ愛子ちゃん しかし目立つ子じゃないけど 良く観ると相当可愛いよなッ」
「そうかぁ〜愛子だぞぅ〜」
「お前ぐらいだよ 愛子ちゃんをそんな風に言うのは」
「俺は桜ノ園に彼女いるし」
「えええッッ 愛子ちゃんてぇお前の彼女じゃないの?」
「ああ・・・特別な後輩だよ昔から」
「何だよぅ〜特別な後輩って愛子ちゃんは愛人かぁ〜(笑)」
「愛人じゃねぇよ 後輩だよ 愛子の事も知っているよ付き合ってる彼女も」
「彼女も知っている女ならやはり・・愛人だろ(笑)」
「ばぁか ちげぇよ」
俺は特別な後輩と言う約束で今まで愛子と接して来たが高校生にもなると
愛子も女だし彼氏が出来た時に愛人と呼ばれては可哀想だと
関係と付き合い方を考えないといけないと思った。
放課後になるといつもの様に愛子は俺のクラスに来た 少し緊張した真剣な顔で
「先輩 お時間頂けますか?」
何だか昔にそんな風に言われたことがあるなと思った。
「どうした愛子ッ改まった話方でぇ」
俺が友達に言われた様な事を愛子も友達に言われたそうだ
そして考えた末に特別な後輩を解消して大人の関係
先輩の愛人になりたいと言い出した。
初めての時から思った事だが 愛子は少し変な言い方 表現の仕方をするので
凄く驚いたが愛子が考えて出した結論だ 愛子が良いならと俺は少し不愛想に応えた
しかし・・・胸の高鳴りと股間はドクドク音を立てていた。
私がまた変な事を言い出したので先輩は凄く驚いた顔をしたが
愛子が考えて言う事ならと即決でOKしてくれた
私は凄く嬉しかった先輩を今までより身近に感じる事が出来た
先輩と私の学生時代の特別な後輩の関係からこれから長く続く大人の関係
愛人関係に変化した日であった。