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人妻 律子
【熟女/人妻 官能小説】

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岐路-1

 封を切り二枚の用紙を取り出した。
     急募
 ビデオ制作にあたり女優を募集しています。
但しこの募集用紙はスタッフがふさわしい方と判断した方にしかお渡ししていません。
お仕事をなさっておられる方でも空いている時間を活用して働けます。
ビデオの内容はカラオケ等で流されるミュージックビデオ、並び成人向けビデオとなっています。
    詳しくはスタッフまで    担当 高橋 貢  090−〇〇〇ー〇〇〇

 二枚目は応募用紙が入っていた。
一次審査はすでに合格です、二次審査はこの応募用紙に記入、写真一枚を同封ください。
尚、差支えのない方はスリーサイズもお書きください。

 (アダルト女優の募集なの、冗談じゃないわ)

律子は封をゴミ箱に捨てたが家族の目に留まるとけないと思いバックに再び戻した。

 その後も誠也の体調は改善するどころか症状は悪化する一方だった。
六か月も過ぎたころ大学の半期の授業料の納期が迫っていた。
「母さん俺だよ、バイトだけでは生活費が出ないよ、少し振り込んでくれない」
東京で下宿する息子からのメールだった。
もう貯金は底をついていた、しかし授業料だけは納付しなければならない、律子は焦っていた。
職場の帰り何度も迷ったがサラ金の富士サラのボックスに入っていた。
(仕方ない、10万だけ、あとは銀行の融資で賄おう)
その始まりが生活を狂わせる一歩だとは気づかなかった、しかし息子からの催促、病院の支払い、ローンの返済が重なるとサラ金への依存は増えて行った。


 「オイ、高橋あの女はどうなってる、監督から催促がきてるぞ」
橘プロの社長は声を荒げた。
「申し訳ありません、何度もあの喫茶に足を運んでるんですが最近寄らないとマスターが言っていておりまして・・」
「勤め先は分かったのか、逢える機会を作るんだ」
「はい、今日マスターに聞いて訪問します。」
高橋は急いで車を走らせた。
そしてマスターに聞くと律子の勤める施設に赴いた。

「古野律子さんですか、5時には施設を退所予定です、何でしたらお伝えしましょうか」
「いいえ、そのころ職員通用門で待ちます」                    高橋はそう言って退所時間まで車で待つことにした。しかし久しぶりである、律子が高橋の顔を覚えているか不安だった。
 5時の時報をラジオで知ると車から降りた。
五、六人の女性が出てくるのを見るとその中の後尾に律子の姿を見た。
高橋は車から駆け寄ると声をかけた。
「古野さん」
律子は思いがけない男の声に驚いていたが高橋の顔をみて覚えているようだった。
「何でしょうか・・」
「お手紙お読みいただけましたか、なんでしたら少しお話聞いていただけないでしょうか、数分で終わりますから」
律子は躊躇したが高橋のあまりのしつこさに数分を条件に車で聞くことにした。
「ビデオ制作とありましたが、アダルトですよね」
「ハッキリ言えばそうです、了解でしたらお金は出します、今のお仕事しながらで結構です」
「・・・・・」
律子はためらいの表情を浮かべた。
「今すぐ返事とはいいません、よく考えて今週中に戴ければ」
高橋はそれで話を打ち切ろうとした。
「もう少し詳しくお話しください」
律子から思わぬ言葉が返ってきた。
「そうですか、実は社が今企画している映画は「覗き穴」という素人さんの原作作品なのです。その中心となる女優さんにあなたをと思っています、ここに作品の内容が大まかに書いてございます。綺麗な顔だけではこの役は務まりません、あなたの肉体を余すことなく発揮していただければ報酬は100万下りません」
「仕事を休むのですか」
「いいえ、休日と空いている時間でまにあわせます、一か月で終わります。」
律子は追い詰められていて冷静さを失っていた。
「一度考えて返事します」
高橋は封筒に入れた50万の金を差し出した。
「とりあえず預けます、受け取ってください」
「それは受け取れません」と拒んだが高橋は強引に律子に預けた。
律子を車から降ろすと携帯を取った。
大抵の女性は金を受け取るとほとんどが了解する、それを見込んで強引でも渡すのである
「社長、数日のうちにいい返事いただけると思います」
「そうか、俺も一度律子という女を見たいものだ」
「楽しみにしてください、いい体してますよ」

律子は家に帰る間考えていた。
アダルトビデオ、おおよそ週刊誌や個室ビデオ店で内容は見当はついていた。
この体を夫以外の前で・・・しかも不特定の男たちの目に曝される
(どうしよう、お金の支払いもある、50万預かってしまった、返さなければ了解したことになる)
そんなことを考えながら帰宅した。
「只今」
「遅かったに何かあったの」
「何よ、洗濯物くらい取り込んでよ、私もう疲れて大変なのよ」
誠也の言葉についイラついてでた言葉だった。
「悪かった、俺取り込んで畳むよ」

(ごめんなさい、こんな言い方して)
律子はつい出てしまった言葉に反省していた。

食事中も無言の律子
「お母さん、今日なんかおかしいね大丈夫」
幸からの言葉も耳に残らなかった。

深夜、家族が寝静まったころ律子はスマホから成人向けのビデをを検索して誠也に気付かれないように見ていた
内容は極めて単純で男女の絡みがほとんどである
(まあ凄い、こんなことカメラの前でするの・・)
初めて見るアダルトビデオに目を凝らし胸をドキドキさせていた。
 肉体を見世物にして金を得る、道徳的にどうなのだろう律子は思った、しかし家計に危機がせまっている事も事実、岐路に立たされていた。
 







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