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私の彼の青い傘
【大人 恋愛小説】

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二人で並ぶ銀の傘-2

『いらっしゃいませ。ご注文はどうされますか?』
「ん…。ホットコーヒー2つ。」
彼女も俺も好きなコーヒーを頼んだ。
『かしこまりました。それでは、ごゆるりと。』

「いい喫茶店だわー。レトロな感じが好きね。」
「ん。たまには街に来るもんだね。」
「雨が無ければ私達は会ってもいなかったでしょうね。」
「はは…まったくその通りだ。雨様様だな。」

『コーヒー。お待たせ致しました。』
「ん…ありがとう。」
お礼を言うと、ウェイターは一礼して戻っていった。

「む…美味しいわよコレ。」

飲むの速ッッ!と思いつつ、俺もコーヒーに口をつける。

「お…。マジだ。美味しい。」

コーヒーの味はというと、甘くて、どこと無く切ない感じだった。今になって考えれば、小夜の唇のような味だった。

「飲んだら…ネックレスを買いに行こう。ペアのやつ。」
「いいわねぇ。楽しみ♪」

そしてコーヒーを飲み終え、店を出た。雨は多少弱くなっていた。

喫茶店から約5分。雑貨店などに挟まれ、装飾品店は建っていた。

入った瞬間から小夜は嬉しそうにお気に入りを探す。
やっぱり女の子。目をキラキラさせてはしゃいでいる。そんな景色を見ていて、幸せを感じるあまり自然と口から笑みが零れた。

一人でニヤけんのも不審か。と思い俺もネックレスを探す。半月形。ハート形。十字架形。天使の弓っぽい形。いろんなのが並んでいる。
右から左へ目を通して行くと、一つだけ目を奪われるネックレスを見つけた。
「小夜。見てみ。」
「わぁ…傘の形…。」
傘の形をしたネックレスは、綺麗だった。細かく作られていて、鮮やかな銀色だった。
「これで良い?」
「全然OK!」
彼女は嬉しそうに承諾してくれた。
「じゃぁ、これ2つ下さい。」
『かしこまりました。お買い上げ、ありがとうございます。』

ネックレスのサイズを首に合うように調節し、俺達に手渡した。

「よし。公園行こう。」
「なんで?」
「見せあいっこしたいなぁと…。」
「ふふッ、可愛いなぁ恭一君は。」
「うるせッ。」

はははッと二人で笑い、街の外れにある公園へ歩く。もちろん手を繋いで。

公園の屋根のあるベンチに二人で腰掛け、買ったばかりのネックレスを取り出す。銀色の傘がどんよりとした雨雲を写す。

「つけてあげるよ。」
そう言って彼女は、ネックレスを俺の首につけた。
「さんきゅ。俺もつけてあげる。」
そう言って袋からネックレスを取り出す。それを手に取り、彼女の首に手を回す。この時顔が近くなる。そして俺はネックレスを彼女につけた後、そのままキスをした。
「むぅ…どう…したの?」
「…。」
無言でキスを続ける。カチャカチャと二人の銀色の傘が触れる。


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