別れ-1
「逢いたかった…亜沙美さん」
きつく抱きしめる高杉は私の唇を奪っていく。
私は抱かれて、唇を重ね返すけど、虚しさが残ったままだった…。
高杉からの連絡は続いていたけど、待ち合わせの約束は断ったり、返事を返さなかったり
最後に二人で会うのは随分と過去のようだった…
トリックアート展で会ってからしばらくして待ち合わせの誘いを受け、私はそれを受けた。
トリックアート展の最終日、家族には仕事で帰れないといい、私は仕事のあと、大分にあるコテージに行った。
高杉は迎えに来ると言ったけど、誰かに見られるかも知れない
それに帰り道を一緒にいるとお別れできないかも知れないと思い私は自分で運転して向かった
到着すると21時を回っていてそんな時間に到着した私を高杉は強く抱きしめ、迎え入れた。
「ごめんなさい。遅くなっちゃいました」
わざとらしく無理して明るく振舞う私に「来てくれてありがとう。待ってました。さぁ食事にしましょう」
待っている間に高杉は食事の用意をしてくれていて私たちはワインを飲みながら高杉が用意したシチューを口にした。
お互いの近況を話しながらの食事だけどどこかぎこちなく、話も弾まない
会話が途切れる度にシチューを口に運び、ワインを流し込む
そっけなく食事が終わった後、後片付けをし「先にお風呂を貰うね」私はそう言いバスルームに行った
抱きしめられて、キスされても、以前のようなゾクゾクがもう感じられない
「潮時ね…」
私はバスタブに湯を張って物思いに深けた…。
涙もなく、思い浮かぶのは家族と一緒にいる高杉の幸せそうな顔と何故か岡部美紀の億位のある顔…
もうこんなことを思い出すこともないんだろうな…
そんな思いを持ちながら私はバスタオルを巻き付けて、ベッドルームに入った
高杉がバスルームに入る音を聞きながら少し私は目を瞑った…
思い浮かぶのはさっきと同じで幸せそうな高杉の顔と岡部真紀だった…
そしてハッとして私は目を開ける
何度か繰り返していると高杉が入ってきた
「亜沙美さん…待ち遠しかった…」
以前と変わらず優しく、大切に扱ってくれるのに、私はもう何とも思えない…
ライトを消して気付かれることはないけど、冷めた目で私は高杉を見つめている…
バストを愛撫され、秘裂もマッサージされるように触られ、身体は反応して潤ってくるのがわかるけど、気持ちがのらない…
時間がすごくゆっくりに感じる…
どれくらい時間がたったかわからないけど、高杉はいつものようにスキンを付けて私の中に入ってきた…
いつもは何度も絶頂に導かれていたのに、今日はまだ達することが出来ない
「ああん。いいわ。」一応高杉に悪いと思い、演技のように声をあげるものの、盛り上がらない…。
高杉は無理をするようにいつも以上に激しく腰を動かす
「亜沙美さん…!!あぁ…!亜沙美さん…愛してる…」
スキン越しに高杉は私の中に果てた…
愛してると言われても、言葉が流れていく…