出会い-3
あたしたちはバスを降りた後、バス停から正門をくぐって教室に向かう。
『ふう。やっぱりまだほとんど人がいないわ。』
『そうね。やっぱり朝、部活がある人はそちらに向かっていると思うし。そう言えば、彩夏さんは何か部活に所属しているの?』
『えっ?ああ。あたしはバスケ部だよ』
『あれ。でも、運動部なら朝部活はないの?』
すると、教室のドアが開く。
『うわっ。遅刻魔、彩夏が来ている。今日は槍でも降るんじゃないの』
そう言うのは、あたしの長い付き合いになる相馬千鶴。
セミロングの髪をポニーテイルで結っていて、あたしより少し背が高い。
『悪かったわね。早くから学校にいちゃって』
『あはは。冗談だって。それにしても、彩夏って前から、涼子ちゃんとそんなに仲良かったっけ?』
『うん。彩夏さんとゆっくりお話したのは今日が初めてなの。でも、すぐにお友達になれたよ』
『へえ。それはよかった。それじゃ改めて、ご挨拶。あたしは相馬千鶴。彩夏と同じバスケ部だよ。よろしくね。』
『はい。こちらこそよろしくです。』
すると、朝部活を終えた他の子が教室に戻ってくる。
『おはよっ。彩夏。今日は早いね』
『おはよう。って、彩夏。熱でもあるの?』
と入ってくる見知った友人達に口々に言われる。
あたしは毎日の惰性から苦い顔で答えるしかない。
うん。信用無いなあたし。
放課後の体育館にあたしはいた。
『彩夏!!』
手のひらに伝わる振動、視界から覗く相手の戦陣。
あたしは考えるよりも先に体を動かしていた。
流れるような動作で千鶴からボールを受け取り、あたしは一気に駆け出す。