美代ちゃん(1998年頃のいつか)-1
「美代ちゃん、教えてよ。」
健太は学校の帰り道に美代の家へ寄っていた。
買い物にでも出かけているのか、美代の家族は誰もいなかった。
美代の部屋に健太と美代の二人っきり。
美代が黙っているので、健太は再度尋ねた。
「美代ちゃん、知ってるんでしょ、教えてよ。」
「・・・・。
あたしもよくは知らない。」
「今日学校で『知ってる』って言ってたじゃないか。」
「でも・・・、
お姉ちゃんに一回聞いただけだから。」
「知ってるだけでいいから。」
「誰にも言わない?」
「うん。言わない。
美代ちゃんに聞いたってことは言わない。
けど、明日自慢する。」
「自慢するの?」美代が怪訝な顔をした。