女らしく【04】『真夏と納涼と怪談』-7
けど……大和に触られたら…どんな感じ…なのかな…
オレが押し倒したらアイツはどうするんだろう……
驚くのかな…嫌がるかな…それとも……
それに、もし逆に大和に押し倒されたら……
自分を押し倒す大和の姿が浮かんでくる。
…だ、ダメだよ大和……そ、そんな……
オレの身体をギュッと抱き締める大和…
…えっ……ち、違う!嫌じゃない…お、オレも大和が……あっ………やまとぉ…
月下の元、絡み合う二人…
…って何考えてるんだオレは!恥ずかしい!!
い、いくら大和だからってこんな……でも、大和になら…けど……
その夜は何だか寝れなかった……
コンコン…
夜も更けた学園の一画。
理事長室と書かれた扉の前で二人の影が佇んでいる。
「開いておるよ」
「「失礼します」」
中からのしゃがれた声に答えて、扉が開く。
「まったく…何をしているのですか小角様?」
青髪の男が尋ねる。
「つい…面白そうだったのでな…」
「まあまあ…後鬼、落ち着いて」
「前鬼、あなたは甘すぎるのです!幾ら我々が小角様の式だとしても言うべきことは言わねば!!」
「百物語なんかやってたら私だって気になるよ。でもねぇ…小角様…」
急に話を振られた老人はビクッとなる。
「な、なんじゃ…前鬼?」
「どさくさに紛れて女子生徒の胸を触るのはどうでしょうねぇ♪」
「…あなたは、金峰山で修行なされたと聞きますが、そんなこともしていたのですか『役 小角』様?」
二人とも表面上は笑顔を纏っているが、その瞳の奥には暗い火が灯っている。
「や、やめんか!」
「「殺しはしませんからご安心を♪」」
ゆっくりと追い詰める様に赤と青の鬼が動く。
「やめんか…な!は、話せば分かる………ぎぃいやああぁぁぁああ…」
今宵、雄経学園に新たな怪談が加わった。
真夜中の学園に響き渡る謎の奇声…
その真実を知る者はいない…
続く…