女らしく【04】『真夏と納涼と怪談』-5
「だったら、何で学園長室に名前を変えないんでしょう?」
確かに変な話だよな。
「実はですね……本当はいるそうなんですよ…理事長が…しかも…幽霊になって……
そのため理事長室だけが残っているんですよ」
ポツ…ポツ……ザアアアア……
「……雨が…降ってきたな」
「話は終わってないですよお姉様。しかも…こんな雨の夜にはその理事長の幽霊が現れるそうなんですよ……」
音をたて、草木はざわついている。
……まあ、アリそうな話だな…少し怖かったけど…
「ああ!信じてないですね!」
「よくある学校の怪談ですわね」
「…ちょっと怖かったけどな…」
「本当なんですから!!」
「本当じゃよ……」
急に背後からしゃがれた声がした…
ムニッ…
えっ…ムニッ?
少し視線を自分の胸部に傾ける。
そこには…節くれ立った指がしっかりとオレの胸を掴んでいた!
「………ひっ、ひぃいやぁああああ!!!」
「ま、まさか…本物?それともただの変質者?」
「変質者ではない!本物じゃ……いかにも、この学園の創始者にして、名を、ゴフウッ!!」
顔面がめり込むくらいの一撃。
理事長の幽霊は不自然な叫びを上げて倒れ込む。
「マコト!?大丈夫ですの?」
「ああ…ちょっとビビったけど…怪談話じゃない幽霊は怖くねぇ!」
むしろ恐怖よりも怒りが勝っている。
「博士……そいつ…押さえろ…」
「えっ…」
「いいから、押さえやがれ!!!」
「い、Yes.Sir!!」
謎の理事長を羽飼締めにして押さえ付ける。
「大和……刀寄越せ…」
大和は無言で刀を手渡す。
「さてと……貴様に二つの選択肢を与えよう」
刀を首筋にぴったりとつけて問う。
「一つは、楽に死んであの世で苦しむか。もう一つは、ここで地獄を見て、あの世で楽になるか。さあ、選べ!」
「ちょっとマコト…胸を触られたくらいでそこまでしなくても……」
「だって…む、胸なんて…大和にだって触られたことないのに……」
「確かにショックなのは分かりますわ。けど、少しくらい話を聞いてもいいんじゃありませんの?」
「そうじゃ!その貧しい胸の娘の言うとおりじゃ!!」
いつの間にか復活した理事長が答える。
が、しかし……