風薫る-3
「俺はお前の兄ちゃんだから……」
わぁっと涙があふれてとまらなかった。
神様
どうしてあなたは
こんなにも近すぎる場所に
諒と私に命を与えたの?
「諒の馬鹿…!!バカァ……!!!」
一週間後、私は結婚してしまう。
髪に潮の香りを絡ませたまま。
「爽…!!!」
いつかあなたを『お兄ちゃん』と呼べるようになったら
この恋に終止符が打てたことになるの?
そんなの
そんなの嫌だから
「…帰ろう」
「…あぁ」
夜がいつのまにか私達をつつみこんでいた。チカチカと星が瞬いている。
「幸せに、なるね」
そう私は彼の背中に呟いた。
貴方もそうなりますようにと、祈りながら。