父と娘の邂逅-1
「あ、やっとドアが開いた。」
「さあ、真奈美ちゃん。これでお母さんも敏明も、みんな揃ったわよ。」
「わ〜い。ねえねえ、とうとうみんなと仲良くできるんだね。」
4人はそれぞれの思いをもって自分たちの親の姿を見つめていた。
雅和は香澄のそばにすぐにでも行きたかったが、
香澄は征爾とまだ何かしら話し続けている。
「ええ。ただ、真奈美ちゃんのお父さんとお母さんは、
この雰囲気に慣れるのに、少し時間がかかると思うわ。」
「え〜?だって、お父さんもお母さんも、ちゃんとわかってくれたんでしょ?」
「そうね。頭では理解してもなかなか行動できないのが人間でしょ。
それに大人になればなるほど、今までに積み上げてきたものが多いから、
いざとなると、やはり常識や今までの経験にとらわれてしまうものなの。
その間は、わたしたち若者だけで楽しみましょ。」
紗理奈はそう言うと、美奈子と敏明、そして潤一に合図をした。
5人がこうして集まったのは初めてのことだった。
敏明が治療中だったこと、
そして美奈子も幼いころからのいじめによって形成された心の壁の内側に、
自分の本当の心を抑圧してきたことが原因だった。
しかし、敏明の治療が終了するのと前後して、美奈子もようやく心の治療を終え、
本来の自分を取り戻し、
そして今日、父親の征爾から、
これからは自分の思いのままに行動していくことを認めてもらえたのだ。
「真奈美ちゃん。久しぶり。」
「美奈子お姉ちゃん。やっと楽しめるね。」
「あれ?美奈子ちゃんと真奈美ちゃん、今まで楽しめてなかったの?」
「敏明。美奈子にもいろいろあったのよ。」
「うん。敏明の治療に疲れてる真奈美ちゃんを襲って、レズを迫ったりしてね。
しかも、真奈美ちゃんにとってはかなりハードな方向で。」
「そうなのかい、真奈美。」
「う〜ん。真奈美はよく覚えてないっていうか。
ああ、こういうのもあるんだな、って思ったから。」
「じゃあ、平気だったの?」
「う〜ん。平気っていうか、本当に、あ、こういうのもあるんだって思ったのと……。
あ、こんな気分もたまには悪くないかもって思ったくらいかなあ。」
「な〜んだ。だったらあの時、あのまま、でもよかったんだ。」
「うん。でも、急だったから、びっくりしたっていうのはあったよ。」
「そうなのよね。美奈子はいっつも物陰から突然に表れて、
背後に忍び寄って、低くて暗い声でささやく感じだから。」
「な〜に、紗理奈お姉ちゃん、その喩え。」
紗理奈と美奈子がじゃれ合うようにしている姿を敏明は不思議そうな目で見ていた。
「どうしたの?とし君。」
「あ、いや。姉貴たちがあんな風に楽しそうにしているのを初めて見た気がしてさ。」
「え?でも、紗理奈おねえちゃんと美奈子お姉ちゃん、仲悪くなんかなかったよ。」
「うん。そうなんだけどね。」
「性格が対照的に見えていたせいじゃないかな。」
潤一が敏明に語り掛けた。
「でも結局は似たもの姉妹だったってことさ。」
「似たもの姉妹、か。ボクと潤一さんも、似たもの兄弟になれますかね?」
「うれしいこと言ってくれるねえ。敏明君。」
「あれあれ?なんか、真奈美だけ仲間外れだぞ〜。」
「あ、ごめんごめん。」
「真奈美ちゃん。大人たちはやっぱりまだ時間がかかるみたい。どうする?」
「待ってるのも脳がないよな。こっちはこっちで気分任せに……。」
そう言うと、潤一がいきなり紗理奈の股間を触った。
「ちょっと、いきなりなんでわたしに手を出すわけ?」
「何怒ってんだよ、紗理奈。」
「あのね、紗理奈お姉ちゃんは、わたしのお父さんと続きがしたかったんだよ。
ね?紗理奈おねえちゃん。」
真奈美は相変わらずさらりと紗理奈の心を言い当てた。
「真奈美ちゃん……。もう、なんでもわかっちゃってるんだから。」
真奈美は褒められたのか叱られたのかよくわからないまま、紗理奈を見た。
「ねえ、じゃあ、大人たちの話が終わるまで、ランダムでしてようよ。」
「ランダム?マンダム?」
「じゃあ、思い切ってじゃんけんで相手を決めようよ。」
「ちょっと待って。男2人に女3人だよ。」
「だからランダム。」
「え〜?じゃあ、女同士もあり?」
「そ。男同士もあり。」
「え〜?やめてくれよ〜。」
「いいじゃない、面白ろそう。」
「じゃあ、グーパーで決めようよ。」
「それだと4,1もありってこと?」
「最悪!1にはなりたくないわ〜。」
「ねえ、とし君、何出す?」
「駄目だよ、真奈美ちゃん。」
「え〜?だって、真奈美、一人になったら寂しいもん。」
「そりゃあそうだ。寂しいというよりもほかの4人が羨ましすぎる。」
「じゃあ、5人でしちゃおうか。」
「え〜?5人で?どうやって?」
「なりゆきよ、なりゆき。」
「そっか。じゃあ……。」
敏明がいきなり美奈子に抱き付いた。
美奈子は勢い余ってそのままベッドへと倒れ込んだ。
美奈子に抱き付いた敏明の上に紗理奈が飛びついた。
その紗理奈を引きはがそうと真奈美もベッドへと上がる。
紗理奈に覆いかぶさろうとして四つん這いになった真奈美の太腿を、
潤一が両手で抱え、いきなり割れ目を舐め始めた。
「きゃ、やだ〜。潤一さんったら〜。」
真奈美は足をバタバタさせて潤一の口から下半身を離そうとしたが、
潤一は真奈美の太腿に両腕をしっかりと抱えて離さなかった。
乱交とはとても言えないような、悪戯の延長としか思えないような、
全員が真奈美に触発され、童心に帰ったようだった。
(なんだかんだ言っても、まだ子どもだなあ。
無邪気に戯れているところだけ見れば小学生の修学旅行か。
まあ、もっとも、修学旅行中に全裸で男女が入り混じることはないだろうが。)