背信行為-9
「あぐっ…!や、やめてくれ…!ああっ…!」
変な汗を額から吹き出しながら悶絶する沼田。若菜が決してハッタリではない事が伝わる。その手には容赦と言う優しさは微塵も感じなかった。
「ねぇ、誰の差し金なのぉ??」
非常な手とは裏腹に、子供に質問するような口調で尋問する若菜。
「な、何の事だかわからねーし…」
若菜はニコッと笑う。
「あーら、そう。」
さらにギュッと力を入れる。
「あぎゃ!!」
歪む顔。もしかしたらどんな拷問よりも辛いかも知れなかった。
「じゃあ何?あなたは彩香ちゃんを襲うためにここに隠れてたの?」
「そ、そうだ…。前からヤリてぇと思っててなぁ…待ち伏せしてたんだ!!」
あまりの痛さに話の辻褄が合わない事を考える余裕すらなかった。
「あなた凄いのね。たまたまここに来た彩香ちゃんを待ち伏せ??予知能力でもあるのかしら??」
「そ、そうだ…。ああっ…くっ!」
「じゃあセキュリティを解除して誰でも入れるようにしたのはあなたって事よね?彩香ちゃんが中に入れるように。」
「そ、そうだ…」
「じゃああなたは私とかごく一部の人間しか知らないはずのセキュリティコードを知ってたの?知ってたとしたら大問題よね?麻薬とかの押収物を勝手に持ち出せる状態にあったんだから。懲戒免職だけじゃ済まないわよ?」
「べ、別に辞めても構わねーし!」
「だから懲戒免職だけじゃ済まないって言ってるでしょ?辞めさせるかさせないかは私が決めるんだから。てかあなた、嘘が下手ね。じゃあ聞くけど、セキュリティコード、言ってみなさいよ。」
「そ、それは…」
「まさか知らないとか忘れたとか言わないわよね?私、嘘とレイプは大嫌いなの。」
「ぐあっ!つ、潰れるっ!!」
「潰す気でいるもん。ほら!」
「んぎゃ!!し…、し…、清水さんから教わった!ポケットにメモが…。コードを解除して誰のICカードでも入れる状態にして…いつも入ってた…!うぐぐ!」
吉川が沼田のポケットを弄るとメモが出てきた。そして若菜に見せる。
「確かにセキュリティコードで合ってるわね。もしかして総監室に隠しマイクか何か仕掛けてあるのかもね。昨日の会話を聞いて彩香ちゃんがここを調べに来るんじゃないかと予測しての事でしょ?てなると彩香ちゃんの行動を監視してたって事よね。5課も暇ね。そんな暇あるなら人員減らそうかしら。でもそんな簡単に吐いちゃっていいの?清水さんの名前。」
「…き、キンタマ潰されそうだから気にしてらんねーんだよ!!」
「アハッ、効くわね、タマ握り♪」
容赦なくタマを握り続ける。