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官能小説へのこだわり
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便り-1

 数年後しのえから一通の手紙がきた。

 重蔵様ご無沙汰しております、お元気ですか・・・もうお忘れかも?
新緑の季節を迎え若葉が本当に綺麗な季節を迎えました。
折原さんに紹介いただいて重蔵さんと過ごした数日はとても新鮮で一人暮らしの寂しさを忘れ楽しいひと時でした、ありがとうございました。
その後、紹介で再婚しましたが訳あって離別いたしました。
もう五十路半ばになりました、時々重蔵さんとの田舎暮らし思い出して慰めております。
 この季節、きっとあなたの事ですから山菜など取って調理なさってるのでしょうね。
まだエッチな小説書いてみえるのでしょうか、また読ませてください。
ところで差し支えなければまたお邪魔させていただいてもよろしいでしょうか。
久しぶりにお会いして面白いお話お聞かせいただけたらと存じます。
                               しのえ

「あの後家なかなか上手い字を書くな、時々慰めていると書いておるがアレのことかいな・・・ふふふ、俺を刺激させおって」

多田は手紙を読むと棚から便箋を出してペンを執った。

 手紙を拝読させて頂いた、わしもあんたと暮らした数日間は堪能させてもらった、ありがとう。
あんたが言うように今山は美しい、下界の騒々しさと違い野鳥の声を聴き、谷のせせらぎを聴いて朝を迎える。
小説といえる上等なものではないが書いておる、最近は「義母」というタイトルでじゃ、
原稿を同封するから読んでくれ。
 今わしは野を歩きワラビやこしあぶらの山菜を取って食って居る。
夜は酒をたしなめながらわしもあんたの脂の乗った白い肌を思い浮かべてやっておる。
 この付近に白滝の壺という滝がある、夏になるとわしは褌姿で滝に打たれて瞑想に耽るよろしければ夏来られたらいいかもしれないぞ、わしも逢いたい、いつでも来てくだされ。    
                                 重蔵

 暫くして、しのえから返信があった。

 お手紙ありがとうございました、同封の原稿も読ませていただきました。
義母は丁度私の年齢ぐらいの方なんですね、小説のような事もあり得そう・・・
私にもそんな婿さんがいたらわかりません・・・
重蔵さんはいつまでも健在ですね、白滝の壺で滝に打たれて瞑想しておられるようですが
冷たくはないのですか・・・
 私も一度打たれたいです、いろんな意味で邪気を払って生まれ変わりたいです。
7月10日から一週間お邪魔したいと考えます。
                            しのえ




 





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