旋律が心に浮かべた物語-4
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ドビュッシーの『小舟にて』の中に
春 引っ越してきた
真新しい団地の中を
探検してる 幼い自分がいる
団地のはずれに 小川があった
流れにそって 歩いていくと
むこう側にたんぽぽが咲いている
小さなたいこ橋がかかっていた
つぎの日 小川に母を連れていった
でもそこは たんぽぽの咲く野原だった
「ここに川なんか 流れてなかったよ」
母は笑って 自分を抱き上げた
でも あの川の流れの中に
確かに映ってたんだけどな
まっさおな空と 特徴のある形の
給水塔の てっぺんが
【ここまで】