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名曲に名をかりて
【エッセイ/詩 その他小説】

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旋律が心に浮かべた物語-4


   ─━─○○○○─━─

ドビュッシーの『小舟にて』の中に
春 引っ越してきた
真新しい団地の中を
探検してる 幼い自分がいる

団地のはずれに 小川があった
流れにそって 歩いていくと
むこう側にたんぽぽが咲いている
小さなたいこ橋がかかっていた

つぎの日 小川に母を連れていった
でもそこは たんぽぽの咲く野原だった
「ここに川なんか 流れてなかったよ」
母は笑って 自分を抱き上げた

でも あの川の流れの中に
確かに映ってたんだけどな
まっさおな空と 特徴のある形の
給水塔の てっぺんが


【ここまで】





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