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思い出はそのままに
【ロリ 官能小説】

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思い出はそのままに-58

あれから、『謝れ』という声も聞こえなくなった。
 昔は、些細なことで頭に血がのぼった。今では、そういうことはない。
 何かを失った。そういう感じは強くある。何を失ったのかと言われると、はっきりということは出来ない。ただ、何か失った。それが、大事なものなのかは、わからない。楽になったという感じはある。
 武士から電話があった。健太のことだった。
「健太くん、学校に来なくなったよ」
 武士はそう言った。別に、浩之に何とかして欲しいということではない。誰かに話したかった。そんな感じだった。
「美咲ちゃんも、こなくなったよ。美咲ちゃん、妊娠したとかいう話があるんだ。詳しくは知らないけど。美咲ちゃん、ちょっとおかしかったし・・・」
「健太とのことは、みんな知ってたのか?」
「どうだろ。でも、休み時間ごとに二人で消えるし、わかってたんじゃないかな」
「そうか」
 美咲も、犠牲者といえるだろう。健太も、そうなのかもしれない。祐樹がいなければ、健太もおかしくなることはなかった。
「ねえ・・・ボク、どうすればいいのかな?」
 武士は変わらなかった。武士は臆病な人間だったが、それがよかったかもしれない。浩之も臆病な人間だったが、それを最後まで認めることが出来なかった。
「忘れることだ」
「でも・・・」
「おまえ、頭いいんだろう。だったら、忘れろ。こんなところでつまずくな」
「うん・・・」
「沙織先生のことも忘れるんだ」
 健太は、沙織に未練があるようだった。だが、沙織は相手をしていないらしい。
 武士は、何か言いたそうだったが、それ以上は言わなかった。


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