お節介。-9
その言葉を聞いて、それ以上の深追いはせずに、明るく振る舞い話題を変える。
「で、さぁ、華英ちゃん…」
「な、何ですか…?」
何かを揶揄いそうな顔をして見つめてくる若菜に構える華英。若菜は肘で突きながら言った。
「大悟くんに惚れたでしょ??」
「えっ…!?」
華英の顔が一気に赤くなる。
「あー、やっぱりぃ♪惚れたよねぇ??」
「ち、違います!!」
そんな華英の顔をジーッと見つめる。
(ああ、止めて…そんなに見ないで…)
若菜と言えば取調べでもその優れた洞察力で嘘を見抜く力を評価されている。そんな若菜に嘘をつき通せる自信がない華英は、取調べられる容疑者の気持ちが分かった。
「惚れたよね…?」
「…」
「惚れたでしょ??」
「…」
「惚れたよねぇ?」
「…(し、しつこい…)」
どうやら白黒つけないと気が済まないようだ。よくマギーがあの人ウザい時があると言っていたが、こう言う事かと思った。途中で諦める気はないようだ。若菜は正面から見つめてくる。嘘はつけないし逃げられない。華英は追い込まれる。
(正直に言っちゃった方が楽になるかなぁ…。って、何で私が容疑者みたいな気持ちにならなきゃいけないのよっ!?)
もはや気分は取調べだ。そして華英は根負けした容疑者のように小さく声を振り絞る。
「惚れました…。」
若菜はニヤーっと笑う。
「だよねー!華英ちゃんのピンチを救ったヒーローだもんねぇ!そりゃ惚れちゃうよねー!!」
どうしてこの人は他人のこう言う話に目がないんだろうと思った。
「うんうん、分かる。まるで王子様に見えたんじゃない??うん、惚れちゃうよねー!」
本当に嬉しそうだ。どういうつもりか分からないがテンションが上がりまくっている。
「大悟くん、あー見えて誠実で真面目だから華英ちゃんには合うと思うよ??」
「そ、そうですかねぇ…。」
「うん。それに前、華英ちゃんの事、可愛いって言ってたし。」
華英はその言葉に思わず反応する。
「ホントですか!?」
嬉しさを隠しきれない華英を見てまたニヤッとする。思わず反応してしまった事が恥ずかしくなる華英。
「付き合っちゃいなよ!」
「えっ…?で、でもいきなり…。大悟さんの気持ちもあるし…」
「大悟くんは大丈夫よ。彼女いなすぎて毎日シコシコばかりしてるって言ってたから。彼女欲しくて欲しくてたまらないみたいだから♪」
「や、ヤダぁ…。そんな話までするんですか??」
「大悟くんとは下ネタ話で気が合うのよねー。ほら、私もオナニー大好きだから、よくお酒飲みながらオナニー話で盛り上がるのよー♪あ、そうだ!今度大悟くんと3人で飲みに行こうよ!」
「えっ…!?」
「うん、決まりね!じゃあ大悟くんにLINEしとくね!」
「ち、ちょっと…」
慌てる華英だが、若菜はもうスマホを手に取り大悟にLINEを送ってしまったのであった。