お節介。-4
期待通りのカツ丼がテーブルに並べられた。
「あ、何か可愛い…」
ピンク色の可愛い器に入れられたカツ丼は、そこらの食堂で見るカツとは印象が違った。器一つでこんなにも印象が違うのかと華英は驚いた。
「味はまんまカツ丼だからね。」
そう言った若菜をジッと見る華英。
「エプロンするだけで全然印象違うんですね…。」
ジャケットを脱いでエプロンを着ただけなのに、勤務中の若菜とはまるで印象が違くて、家庭的な若菜の姿にこれまた驚いた。
「そーお??」
戯けて見せる若菜に華が口を挟む。
「お姉ちゃんとカツ丼、一緒だね!」
悪戯っぽい表情がとても子供らしい。
「いーんだもーん。私はカツ丼大好きだから最高の褒め言葉なんですー。」
そう言って頬を膨らませる若菜もまた可愛らしく思えた。
「いただきまーす。」
みんな一斉に箸を持ちカツ丼を口にする。心なしかみんな華英に視線を向けているような気がする。
「あ、美味しい!!」
まさに絶品だった。あまじょっぱさが絶妙で、肉もジューシー。今まで食べた中で1番美味く感じた。その美味さはみんな認めているようだ。ほらね?的な表情を浮かべていた。
「でしょー!?」
得意げな若菜。かなりの自信がある。
「まさにほっぺたが落ちそう〜!」
「やーん、もっと言ってぇ♪」
キュンキュンポーズする若菜に至福の笑みを浮かべながら頬を抑える華英。そんな華英を見ながら華が言う。
「華英ちゃんもそんな可愛い顔するんだー♪」
華が持つ華英の印象は、一言でカッコいい、だ。動画で見る華英はいつもカッコいい。しかし華英のそんな仕草を見て物凄く可愛いと思った。
「お姉ちゃん、カツ丼だけじゃなくて、料理だけは上手いんだよ?」
華が舌を出して言った。
「そうなんだー。」
「何よっ、料理だけはって〜。他にも褒めるトコいっぱいあるでしょー!?」
「うーん、考えとく♪」
そんな話をしながら食事を終える。それから家事に追われる若菜を華英は手伝う。家事をする若菜は、警視総監と言う肩書をすっかり忘れてしまいそうなぐらいに主婦していた。しかしその一つ一つが手抜きしない所に華英は感動する。
(上原さんて凄いな…)
自分は働きながらここまで家事をこなせる自信がない。そんな若菜をますます尊敬する。
(お母さんも私が見てないだけで毎日私達の為に家事してくれてるんだなー。)
華英は胸が温かくなる感覚を覚えたのであった。