お節介。-10
シャワーを浴びて寝室に入ったのはもう深夜2時になっていた。若菜は1階の日本間で華英の隣に布団を敷いて寝た。華英は色々あり疲れてすぐに寝てしまった。あんな辛い事があったのにあれこれ考えずにすぐ眠れたのは若菜が与えてくれた安心感があったからだろう。若菜の家族に包まれ、1人じゃない…、そう思えた。
朝、華英が目覚めたのは朝6時。隣に若菜はもう居なかった。キッチンの方から音がする。華英はムクッと起きてキッチンに向かう。
「おはようございます。」
「あ、おはよー!コーヒー飲む??」
そう言った若菜はもう化粧が済んでおり、髪を後ろに束ねてラフな姿にエプロンをしていた。家庭的に輝いていた。プライベートの若菜も、仕事の時とはまた違った輝きを見せていた。華英はますます若菜に憧れてしまう。
「何時に起きたんですか?」
「4時半かな??」
「え…?じゃあ3時間ぐらいしか寝てないんですか??」
「そぅねぇ。でも家に帰って来てる時はいつもこんな感じだからもう慣れたかなー。」
「でも仕事中はあんなにパワフルで、凄いですね…」
「前の日にオナニーしたり俊介と燃えるともっとパワフルなんだけどねー。今日は何もしてないからちょっとパワー不足かなー。アハッ!」
「ハハハ…(朝から下ネタ…。全然元気じゃん!)」
どんなに睡眠時間が少なくても仕事に全く影響させない若菜を尊敬してしまう。
「何か手伝いますよ。」
「えー、本当?!じゃあ…」
華英は若菜を手伝う。すると何か不思議な感覚を得る。普段はどちらかと言うと先輩感覚の若菜だが、義母の食事の手伝いをしているような感覚を覚えた。もし結婚して相手の家に入って食事を一緒に準備するのってこんな感じなんだろうなぁと、華英は思った。つくづく不思議な人だなぁと思いながらも、それだけ色んな人に対して愛情深い人なんだなと改めて実感した。
驚いたのは計4人いるSPにも交代で食事を振る舞っていた事だ。SPも殆ど若菜とは友達感覚で話している。こんな気さくな姿を見せられたら誰でも若菜に魅せられてしまうだろう。本当に素晴らしいボスだなぁと惚れ惚れしてしまう。
SPに護衛され県警本部に向かう2人。到着して車を降りた若菜。
「今日も頑張るわよっ!」
そう言った若菜は、すっかり警視総監の顔を見せていた。