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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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是奈でゲンキッ! 番外編 『シークレット・ガールズ』-1

 県立藤見晴高校2年『佐藤 都子(さとう みやこ)』、一見どこにでも居る普通の女子高校生である。
 がしかし。
 そんな彼女には、実にとんでもない秘密があったのだ。
 ……それは!


「おーーほっほほほほほぉ〜〜っ! 古代ムー帝国の秘宝『人魚の溜息』は、このあたし『怪盗ミーヤ』が頂いたぁーーっ!」
 赤ん坊の頭ほど有る大きなエメラルドを小脇に抱えて、華麗なる怪盗『ミーヤ』は颯爽とビルの谷間を駆け抜けると、何処(いずこ)へとも無くその姿を消した。
 『古代ムー帝国秘宝展』なる、宝石展覧会を開いていた某有名デパートの周りには、数十台のパトカーが列をなして駆けつけ、警察官達も『怪盗ミーヤ』を捕まえるべく、駆け回っては居るものの、今回もまた、まんまと出し抜かれた様子である。
 ミーヤを取り逃がしたばかりでなく、展覧会の目玉とも言うべき大きなエメラルドの塊、『人魚の溜息』なる宝石まで盗まれたと有っては、どうやら、今回ばかりは警察署長の首も飛ぶのではないかと、警察官達も口々に囁き合い。尽きる事の無い噂に、ここのところ世間も『怪盗ミーヤ』なる泥棒の話題でもちきりだった。
 そしてその怪盗ミーヤこそが、何を隠そう『佐藤 都子』であることなど、著者と読者以外に、知る者は居なかったのである。


 〜〜〜〜〜


「ねえねえっ見て見てぇー!」
 都子は登校してくるなり、カバンに忍ばせていた今朝の朝刊を机一杯に広げて、クラスメイトの『中村 彩霞(なかむら あやか)』と『藤平 真由美(ふじひら まゆみ)』に、見せびらかしていた。
 そして、そこに掲載されている『怪盗ミーヤ』に関するニュース記事を読み上げて、さも自慢下に鼻の下を指で擦りながら、仰け反ったりもする。


 *****
 怪盗ミーヤ又しても現る。昨日未明、正体不明の怪盗が某大手デパートの大展示場にて開催されていた『古代ムー帝国秘宝展』に現れ、特別一般公開中であった時価数百億円とも言われる『人魚の溜息』、600カラット相当のエメラルドの原石を強奪し逃走した。この件に関して警察庁では、普段の3倍もの人員を配して警備に当たっていたが・・・・
 *****


「ねえねえ凄(す)っごいでしょう! う〜〜ん『怪盗ミーヤ』って素敵だと思わな〜いっ! なんかミステリーな感じがいいよねぇ!!」
「はぁ〜〜…… 所詮はどろぼうだろぅ。そのうち警察にとっ捕まるだけさぁ」
 ドロボウでありながら、まるでアイドルか、実は正義のダークヒーロー的な存在のように、はしゃぎながら持て囃(はや)す都子に、冷たい視線を向けて、彩霞はまるで感心が有りません! と言ったところである。全く持って馬鹿馬鹿しいと、軽く都子の話を受け流していた。
「え〜〜っどうしてぇ〜〜、格好いいじゃぁーんっ!」
 都子はそんな彩霞の素っ気無い態度に腹を立てたのか、両腕を彩霞の首に回して抱き付くと、なんでこの格好良さが解んないかなぁ、と意見の同意でも得ようと言うのか、猫なで声を出して自身の頬っぺたを彩霞の顔に擦りつけたりもする。
「あーーもうっ、うぜーなぁ! 駄目なもんは駄目っ、絶対認めません!!」
 彩霞は、そんな媚(こび)を売る都子の態度に動じる事も無く、腕を組み、足を組んで彼女の意見を頑(かたく)なに、否定する。
「だいたいお前ねぇ、こんな犯罪者に肩入れなんかしてると、将来を某に振るぞぉ。人間もっと堅実(けんじつ)に生きなきゃ」
 首に巻きついていた都子の腕を振り払いながら、彩霞は憮然とした態度で持って、物言いを出すが。 


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