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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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是奈でゲンキッ!X 『ミステイクス リンク』-8

 嘉幸は、そんな彼女の声を遮るようにして。
「まあ元気だせよ、一度や二度失恋したぐらいで、やけになってちゃ駄目だぜ。俺達まだ高校生じゃねーか。これから先いくらでも恋だって何だって出来るさ」
 そう言ってまた、是奈の肩を、先ほどより少し強く叩くのであった。
 どうやら嘉幸は、是奈が自分以外の誰かに告白して、特訓むなしく玉砕したのだろうと、勘違いした様子である。断られて、振られるや、その報告を兼ねて自分に会いに来て。それでも昨日の事も有ってか、余り落ち込んでいる姿を見せるのも失礼だろうと、こうして健気にもギャグをカマシテいるのであろうと、本気で思っていた。
「っや! そうじゃなくてっ! ねえ田原君ってば、ちょっと聞いてよっ!」
「ああ〜はいはい、解った解った」
 嘉幸は愛想笑いを交えながらそう言うと、颯爽と歩き出し、俺もう帰るから、後は自分自身で何とかしたまえ! とばかりに片手を振る。
 そんな嘉幸の後を、是奈は必死になって追い掛けた。
 すると嘉幸は是奈に背を向けたまま、一旦立ち止まって首だけ振り返ると。
「とりあえずこれ、もらっとくよ。サンキューな!」
 そう言って是奈にもらったチョレートの包みを、高らかに掲げながら、笑って見せたりする。
 正直、そんな嘉幸の言葉が、是奈はとても嬉しかった。
 嬉しかったのだが、……だがしかし。
「あっそうそう、妹の清美ちゃん……だったっけ。昨日約束したんだ今度ゲーセンに連れて行ってやるって。よかったらこれから三人で行かないか、気晴らしにさ」
 嘉幸はそう言うと、また颯爽と歩き出し、何が何やら解らず固まっている是奈を置き去りにして、さっさと行ってしまおうとする。
「あっ! ちょっとぉ田原く〜ん。待ってよぉ!」
 そんな嘉幸を慌てて追い掛ける是奈であったが。
 どうやら今はまだ、是奈には田原の誤解を解くだけの力量は無い様子である。

 果たして、是奈の思いは嘉幸に伝わったのか、伝わらなかったのか。
 恋人としての告白は出来なかったようではあるが、どうやら嘉幸の友達にはなれたようである。

 ともあれ是奈にとっては、大きな進展と言えよう。戸惑いの中にも嬉気(うれしげ)な表情は隠せなかった様子である。嘉幸を追いかける足も、何だかスキップだったりもする。
 そんな彼女の幸福が、勘違いだけで終わらない事を祈りつつ。
    
                      
 おしまい……


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