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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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是奈でゲンキッ! 番外編 『シークレット・ガールズ』-3

 胸のまえで両手を握りしめながら、目を輝かせたりもする。
 そんな真由美に向かって都子も。
「でしょでしょう、そうでしょうっ! 鉄道の歴史をしっかり勉強しておくのは、日本国民としての義務だしぃ。それにぃ後学の為にも、ここは絶対に行くべきよね!」
 そんな事を言いながら、都子はもう嬉しくて溜まらないと言ったところだろう。真由美の手を握り締めて身体ごと飛び跳ねていた。すると真由美もそれに合わせるようにして「うんうん」と頷きながら、都子に吊られるようにして、身体を縦に揺らしていた。
「お前等なぁ…… 小学生じゃあるまし、鉄道の歴史を勉強って…… あのなぁ。行きたきゃ勝手に行けよなっ」
 彩霞は一人、憂鬱そうである。
「ええ〜〜っ! 彩霞が来てくれないと、変な男の人に絡まれでもしたら、あたし達困(こま)るじゃない。ね〜真由美ちゃん」
「はい、わたしもそう思います」
「ちょっと待てこらぁ! 俺はお前等の用心棒かぁっ!!」
 自分本位な事を言われて、彩霞もどうやら青筋を立てて怒った様子である。……が。
 都子たちにしてみれば、そんな事はどうでもいいらしい。 
「はいは〜いっ、多数決だよ! こんどの日曜日は『交通博物館』で ”ぼくと握手”に決定っ!!」
 と、既に博物館見学は決定事項だよ! とでも言いたげに、都子は絶好調で舞い上り、大騒ぎする。
 そんな都子に向かって真由美も、
「あはははぁぁっ」と、笑顔でもって ”パタパタ”と手を叩いてエールを送っていた。
 こうなると、この我が侭娘の事だ、行くなと言っても行くんだろうなと、彩霞も長い付き合いの中で良く解っているらしい。どうやら諦めて付き合うしかないだろうと、
「あーあー解った解ったっ! 行けば良いんだろ行けばぁ」
 ぼやきながらも、博物館行きに同意した様子である。


「と言う訳だから、是奈っ! お前も来いよなっ!!」
「へっ! あた……あたしぃ! ななっなんでぇ!?」
 人事だと思ってボーとしていた是奈であったが、突然話を振られて、自分で自分の顔を指差し、焦りながら後づ去ったりする。
 彩霞はそんな是奈に詰め寄ると、
「お前最近、田原と付き合うように成ってから、俺たちとの付き合いが悪くなったろ! たまには俺たちに付き合え!」
 そんな事を、頭ごなしに言い掛かる。
 是奈は是奈で、
「だってぇ〜田原くんってばぁ〜『ゲーセンに行こうぜ!』って、強引なんだも〜〜ん」
 とか何とか、惚気(のろけ)て寄りかかって居た机を ”ガラガラ”揺らして、誤魔化そうとするが。
「あーはいはい、お前の惚気(のろけ)話しは後でゆっくり聞いてやるから、とりあえず今度の日曜は、俺たちと交通博物館へレッツゴーで、OKなっ!」
 彩霞は言いながら是奈の首を、まるでプロレス技でも掛けるかの様にして、抱え込むと。
「そう言う訳だから都子っ! 是奈も一緒に行きたいってよっ!」
 そんな事を言いながら、抱え込んだ是奈の頭を、軽く ”ペシペシ”叩いたりもしていた。
「ひょっとぉ〜〜もう〜〜、中村は〜〜ん、はらしてお〜〜〜! 息…… 息が出来ないってばぁぁ!!」
 是奈は彩霞に抱えられたまま、最早反論すら出来ず、もがき苦しむだけであった。


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