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是奈でゲンキッ!
【コメディ その他小説】

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是奈でゲンキッ! 番外編 『シークレット・ガールズ』-14

「朝霞さん本部に連絡して、佐藤さんの身体を回収します。それと中村さんの手当てもしないとね」
 真由美は是奈に指示を出すと、ニッコリ笑った。
 終ったんだ…… 何もかも…… そう思い、彩霞も全身の力が抜けた様に、その場にへたり込んでいた。
 だがしかし!
”バシーーーーーンッ”
 突然、真っ黒な雷が真由美を襲ったかと思うと、その衝撃でもって、真由美と都子の身体は引き離されてしまう。
 真由美は一瞬驚きに顔を顰めもしたが、弾き飛ばされながらも直ぐに体勢を整え、空かさず是奈と彩霞の前に立って、光のバリヤーを張り巡らす。そして雷が飛んで来た方へと視線を送った。
 見ると半壊したビルの屋上に、黒いマントを羽織り、都子が掛けていた物と同じ、大きなバタフライマスクで顔を隠した若い男が一人、立って居た。
 真由美はその男を突き刺すような怖い眼をして、睨み付け、叫んだ。
「だれですっ! 貴方はっ!!」
 すると。
「ハーーハッハッハッハァ! 秘密警察機構の能力者がどれほどの者かと思いきや、たかだかその程度のエスパーだったとはな。我等『イビル』の敵ではないわっ!!」
 男はそう言いながら、掛けていたバタフライマスクをゆっくりと外し、その素顔を見せた。
 その顔を見るなり、是奈、彩霞、真由美の三人は驚きに声を上げる。
『田原くんっ!』
 無理もない、それはまごう事無く、同じ藤見晴高校の男子生徒『田原 嘉幸(たはら よしゆき)』だった。
 嘉幸は言った。
「さすがは朝霞さんだっ! 我が秘密結社『イビル』の技術を結集して作られた最強の戦闘サイボーグ『385(ミヤコ)』を倒すとはね。恐れ入ったよ」
 そう言ってマントの裾を少し持ち上げると、軽く会釈をして、なにやら是奈や真由美の戦い振りに、敬意を払っているかの様であった。
「田原くん…… いったいこれはどう言う事なの、秘密結社って何っ! いったい貴方と佐藤さんはどう言う関係なのっ!?」
「おいおい、何を言い出すんだい朝霞さん。ぼくだって君が秘密警察のメンバーだったなんて事は、これっぽっちも知らなかったんだぜ。お相子だろ。それにぼぐが秘密警察の事を詳しく知らないのと同じ様に、君たちが『イビル』の何たるかを知る必要な、無いのさ」
「そっ、そんなぁ…… 田原くん……」
 不敵にほくそ笑みながらも、冷たい視線を向けてくる嘉幸に、是奈も動揺を隠せない。愛しく憧れの人が、本当は悪の組織の幹部であって、自分の敵で有り、互いに正体が解ってしまった以上、親しくお付き合いをする訳にも行かず。信じていた者に裏切られたような思いで、全身の震えも止まらなかった。
「そう言う訳だから、385(ミヤコ)は返してもらうよ。それと君たちには死んでもらおうかな」
 恐ろしい事を躊躇(ちゅうちょ)なく言ってのける嘉幸に対して、
「許せない…… 許せないよ、田原くん! そんなの田原くんじゃないよっ!!」
 愛しさ余って憎さ100倍、是奈の怒りの矛先も嘉幸へと向かっていた様子である。噛み締めた唇からにじみ出た血が、涙に混じって、彼女の顔を濡らしていた。
「田原さん! 貴方を国家反逆罪及び強盗犯罪グループの首謀者として逮捕します! 抵抗すればこの場での排除も致し方ありません!」
「ほうっ、これはまた手厳しいなぁ。……まあ、やれるものならやってごらんよ」
 悪態を付いて止まない嘉幸に、真由美も、これ以上の説得は不可能なのだろうと、腹を決めたらしい。張り巡らせていたバリヤーを解くと、先制攻撃とばかりに、嘉幸に向けて衝撃波の塊を投げつけたのであった。
 

 真由美の打ち出した衝撃波の弾は、空を切って嘉幸のいるビルの屋上へと飛んで行くと、途中で幾つもに分裂して、まるで散弾銃の弾のように、勢い良く嘉幸目掛けて突き刺さって行った。そして無数の爆発が起きると、半壊だったビルも粉々になって崩れ落ち、全てがコンクリートの塊へと姿を変えた。
「君もまだまだ、甘いな!」
 だがそんな真由美の攻撃も嘉幸には効かなかったらしい。


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