15's COOKIE-2
「ごめん」
真上から伸の不機嫌そうな声が聞こえた。
日菜があんまり自分のこと言いすぎたから怒ってるのかなぁ…。
ふいに日菜の目の前に大きな掌が現われた。
「え?」
驚いて見上げると、伸の横顔があった。日菜に向かって伸が手を差し伸べている。相変わらず、反対側の手はポケットに入れられていた。
「ごめん。俺恥ずかしくて…でも、こういうことはちゃんと言わなきゃいけないよな」
日菜は瞬きしないで、伸の横顔を見つめた。
「俺さぁ…わかりきってることだけど…」
伸の黒い瞳が日菜を捕らえた。
「好きだから、日菜のこと…」
ずっと聞きたかった。わかってたけど…ちゃんと伸の口から聞きたかった。じゃなきゃ信じられなかったから…。
「日菜も…好き!」
日菜は差し出された掌をギュッと掴み、勢いを付けて立ち上がった。伸の顔がぐんと近くなる。
「付き合って?」
「もちろんですっ」
日菜はニィ〜と笑った。だって嬉しいんだもん!この広い世界で、何億人もいる中のたった一人に出会って、その人に恋して、近い存在になりたいと思って、お互い同じ気持ちになって、それを通じ合わせることが出来る。これってすごい奇跡だと思わない?日菜、『出会い』は『奇跡』だって信じてるの…。
「何で日菜のこと好きになったの?前はあんまり話さなかったよね?」
「簡単に言えば一目惚れみたいな感じだな」
「うっそぉ!」
一目惚れする人って、本当にいるんだ。
「一目惚れっつっても『好き』とかじゃなく、日菜がいっつも視界に入ってくんのな!!で、何でだろって思った時に『好きになったからだ』ってわかった」
さっきまで超恥ずかしがってたくせに。今はさらっとこんなことも言えるようになっている。
そっちの方が日菜的には嬉しいけどね。
頂上に着くのは数分もかからず、場所取りをしていた圭介のところに駆けてってみんなでお弁当を食べた。
てな訳で日菜の半生な恋は、こんがりしっかり焼き上がりましたっ♪