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真奈美の性春
【学園物 官能小説】

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閉ざされた扉の向こう側へ-2

「こ、こんな、いや、この部屋で真奈美は敏明君を治療していた、の、です、か?」
「ええ。わたしも時々お手伝いしたり、
 時にはいろいろと学んでももらいました。」
「この部屋で学ぶこと、と言ったら………
 そういうこと、ですよね。」

「ほら、おじ様。また言葉遣いが。緊張してます?」
「い、いや、そ、そうかもしれない、ね。
 子どもならいざ知らず、大人なら、この部屋にあるものがどういうものなのか、
 大方想像できるからね。」

「ええ。でも、真奈美ちゃんにはどういう目的のものかはわからなかったみたい。
 何度か検査のために使ったことはあるけれど。」
「検査?」
「ええ。真奈美ちゃんの身体も、念のために検査させていただきました。
 敏明の治療を続けられる身体かどうかという事を調べるために。
 ほら、その時に、動いたりすると危険だから、そのための固定用としてです。」

「じゃあ、その、プレイ、というか、そういった使い方は……。」
「真奈美ちゃんが使うことはないわ。真奈美ちゃんは治療する側だから。
 あ、学んでもらったといったのは、ああした道具の使い方じゃないの。
 治療のためのテクニック。
 治療の効果を上げるために、どこをどうしたらいいかとか、
 こんな方法を試してみて、とか。
 真奈美ちゃんは熱心だから、家でも練習をしてくれていたみたいです。」
「家でも練習?」
「ええ、知らなかったですか?」
「いや、うちの奴も、そんなことは……。
 ああ、そういえば風呂の時間が長くなったとは言っていたけれど。」
「ああ、そうだと思います。
 風呂場で練習するのが一番いいんじゃないかって、
 真奈美ちゃんと二人で話し合って。」

雅和は真奈美が入浴中に風呂場で歌っていた、
あの鼻歌のようなものも関係あるのだろうと考えていた。

「男と女の身体の違いや特性、感じ方の違いや感じる部分、
 そうしたものまで真奈美ちゃんは短い間にどんどんマスターしていきました。
 理論的にというよりは直感的に、と言った方がいいのかな。
 最初はわたしが教える役だったけれど、すぐにわたしを追い越していくほど。
 父親も驚くほどの成長ぶりだそうです。」
「真奈美にそんな長所があったとは、全く気付かなかったな。」
「長所?そうです。長所なんですよ。
 誰にも負けない、誰にもまねできない、
 真奈美ちゃんの長所なんです。

(真奈美の長所。誰にも負けない、誰にもまねできない。
 そうか、そうなんだ。たとえそれがどんなことであろうと、
 それは真奈美の個性の中に、人よりも秀でているものがあるという事なんだ。)

雅和は改めて征爾から言われたことを思い返していた。

(やはり、真奈美はこの家に通って正解だったんだ。
 わたしたち親では見つけることができなかった、
 磨くことができなかった、
 類い稀な真奈美の個性を見つけ、伸ばしてもらったんだ。
 そうだ。そう言う事なんだ。)

「いつもあのベッドで敏明の治療をしているの。
 わたしも時々手伝うこともあるわ。
 それ以外の時はあのスライドドアの向こうにある部屋から見ているの。
 二人きりにすることはないの。何かあったときにすぐに対応できるように。
 わたしは向こうの部屋にあるサイドベッドを使ったりしながら、待機しているの。」

「それにしてもこんな道具まで必要、なのかい?」
雅和は壁から下がった一本のロープを手に取りながら紗理奈に聞いた。
「これらの道具のほとんどは、一時期、妹の美奈子が使っていたもの、
 それも美奈子自身が願って使っていたものなんです。」
「妹さん自身が?」
「ええ。敏明がまだ小学校に上がる前、美奈子が小2か小3の頃。
 学校で虐めにあって。」
「小2で虐め、ですか。」

「ええ。言葉で罵られるだけでなく、暴力的なことも。
 つねられたり鉛筆でつつかれたり、首を絞められたり。
 でも、美奈子は普通の反応をしなかったんです。
 虐められて、我慢して、耐えて………。
 それを自分の中で繰り返していくうちに、
 虐められることに快感を覚えるようになってしまったんです。」
「虐められるのが快感?」

部屋の中を歩き回り、いろいろな道具を手にしながら紗理奈は話を続けた。
「お父様は、美奈子にショック療法を施しました。
 一定期間だけ、美奈子の喜ぶことをしてあげたんです。
 普通の人から考えれば、それが喜ぶことだなんて想像もできないでしょうけれど。
 縛られたりくすぐられたり、水の中に顔を突っ込まれたり。
 蝋燭や鞭、拘束されることなども願うようになりました。
「拷問?」

「そうです。美奈子はそれをされることでどんどん快感を得ていった。
 そして自らはっきりとしたМ性を獲得したんです。
 それによって、美奈子には虐めと調教の違いを理解した。
 友達からのいじめには断固とした態度で立ち向かえるようになった。」

「そんな形の治療もあるんですね。」
「お父様の話によると、人間の性に関する治療はまさに千差万別だそうです。
 誰にでも効く薬があるわけではない。
 誰にでも通用する治療法があるわけでもない。
 美奈子には美奈子に合った治療法があり、
 それ以外の方法では治すことはできなかっただろうと。」


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