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THE 変人
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マーメイド-1

「おい、じーちゃん!おやつ食おうぜ!!」

港内に釣りに来ている一家族。今年6歳になる勇人と言う男の子が釣りをする祖父に向かって言った。
「いらねーっつってんだろうが、このクソガキ!!」
「ウルセー!クソジジィ!!」
言い争う2人を見て勇人の母親、麻里奈が手を掴み引き戻す。
「おじーちゃんはゆっくり釣りやってるからいいの!」
「でも何も釣れねーじゃん!」
「いいから、ほら!」
祖父から離れて椅子やテーブルが置いてある場所まで手を引いて戻って来た。

「勇人は口が悪いねー。本当、おじいちゃんそっくり♪」
そう笑うのは麻里奈の母、葛城幸代だ。すっかり皺が増えたが、しかしその一つ一つに幸せを感じさせる優しそうな祖母だ。
「里緒奈ちゃんは大人しくて可愛くて、私に似たのね♪」
もう1人の孫、里緒奈に向かってそう言った幸代。しかしその言葉に反論する麻里奈。
「誰が大人しいってぇぇ??」
「だから私よ♪美人なトコまでそっくり。お上品で!」
「誰がお上品よ〜!私が子供の頃、よくお母さんやお父さんに、このホーケー野郎って怒られてて、それを私が真似してホーケー野郎とかタマキン野郎とか幼稚園とかで言ってて先生に注意されたの覚えてる??あれ、お母さんが悪いんだからね!!今思うと恥ずかしくてしょうがないよ、もう…。」
「アハハ、そうだっけ??」
「そうよ!」
頬を膨らませる麻里奈。そんな麻里奈に向かって里緒奈が言った。
「ママだって勇人に向かってホーケー野郎って言ってるでしょ??」
「ん?そ、そうだっけ…??」
「言ってるよー!でも里緒奈は真似しないよ?そんな下品な事!」
里緒奈の言葉に幸代と麻里奈が顔を合わせて吹き出す。
「里緒奈ちゃんは大人ねー♪」
祖母に頭を撫でられ嬉しそうな里緒奈であった。

時間はもう15時だ。そろそろ帰る時間である。しかし祖父はまだ道具をしまう気配がない。それを見かねた麻里奈が言った。
「お父さんにそろそろ帰ろうかって言って来ようかな。」
立ち上がる麻里香を静止する幸代。
「いいの、気が済むまでやらせてあげなさい?あの人にとって25年ぶりの釣り…、いえ、海だから…。」
そう言って優しい笑みをじーちゃん…いや、海斗に向けるのであった。

「何かあったの?25年前に…?」
幸代は海を見つめながら言った。
「ま、色々ね。」
と。


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