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THE 変人
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マーメイド-5

「もう、お父さん、釣りなんかした事ないくせに強がるから、一匹も釣れないとカッコわるいって思って諦めないのねぇ。」
麻里奈が言った。
「フフッ、お父さん、昔は釣りが大好きだったのよ?結婚する前なんか台風の日でも平気で釣りに行ってたぐらいだからねー。」
「えー!?嘘〜!釣りのつの字も言わなかったじゃない!それに頑なに海にはいかなかったし。」
海斗が釣りをしていたなどとは全く知らなかった麻里奈は驚く。
「だから色々あったのよ。」
「だから色々って??辛い事?」
「うーん、辛くもあり、楽しくもあり、色々ね。」
「お母さんにとっては??」
「私にとっては…そうね、切ないかな…」
「切ない??何なの?気になるよ!」
「お父さんやお母さんにも秘密はあるのよ♪ま、どうしてもって言うなら、死ぬ五分前に教えてあげるわ?」
「そこまで焦らすぅぅっ??あーん、気になるぅ!」
「フフフ…」
そう笑って海斗の背中を見つめる幸代だが、やはり瀬奈を思っている海斗を見ると、やはり切なくなるのであった。

「もう17時になっちゃうよ?そろそろ帰ろうか。」
麻里奈が時計を見ながら言った。
「そうねぇ…」
心ゆくまで瀬奈と会話をさせてやりたかった幸代だが、日も暮れ始め子供達の事も考えると、そろそろいいかなと言う気持ちになった。

「勇人、里緒奈、おじーちゃん呼んできて?」
「はーい!」
2人の孫はすっかり背中の丸まった海斗を呼びに行ったのであった。

「おじーちゃん、帰るよ!」
2人は元気に海斗に声をかけた。
「ああ、そうだな。そろそろ帰るか。」
デルピエロを離すと孫とじゃれて遊び始めた。海斗は糸を巻き道具を片付け始めた。
「全然釣れねーじゃん!」
勇人が素直な言葉を投げる。
「ウルセーなぁ、このホーケー野郎。」
「あー、またそんな下品な事言ったー!」
「ホーケージジイ!」
「るせぇ、このタマキン野郎が!」
大きな声でディスり合う声が大きく響く。

響き渡る声を耳にした麻里奈。
「間違いなくお母さん達の責任だからねー!あー、保育園であんな事言ってないだろうなぁ…」
「言ってるね、アレじゃあ。」
「もうヤダァ…」
頭を抱える麻里奈を幸代はケラケラ笑っていた。


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