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犬使いの少女
【ロリ 官能小説】

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犬使いの少女-8

 第3話 『転々反則』


 少女が犬と一緒に帰った後の自室で、俺はさっきまでの出来事を何度も何度も思い返していた。

 少女の名は『新山珠美』というらしい。
 『たまみ』という語感があの少女に似合った可愛らしい響きに思われて彼女の名前すら愛しく感じられる。
 その一方で今日の出来事は俺の心を打ちのめしていた。
 俺は自分自身の手で大切な何かを壊してしまったんじゃないか、という後悔に襲われていた。

 正直彼女の行為には意図的なものを感じている。
 彼女の行動はそもそも最初から計算されていたものだったんじゃないかという気さえする。
 俺の部屋に入ってから『チャオ』という名のあの犬は彼女が帰るからと言って呼ぶまでずっと大人しくしていた。
 そんな犬が二日連続で彼女の腕を振り切ってまで、人に噛みついてくるものだろうか?
 もしかしたら彼女が俺に噛みつけと指示したのではないだろうか。そして犬は指示通り俺に噛みついた……

 彼女は俺が想像していたよりもずっと大人の世界に詳しいのではないだろうか。
 最初俺の手についた傷口をなめたのだって、セックスアピールを感じる行為だとわかっていてやったのかもしれない。
 次に噛まれた場所が股間になったのは俺の油断が招いた偶然だろうが、それでも彼女は傷口をなめてあげると言ってきた。
 いくらなんでも普段道ですれ違うというだけの彼女にそこまで献身的にされるいわれはない。
 むしろ彼女自身そうしたかったとしか思えない。
 ……間違いない。
 彼女は俺に性的な興味をもって犬をけしかけたのだ。
 だけど、だからといって俺はずるずると彼女のなすがままになっていてよかったのだろうか?
 それは俺にとって本当に望ましい事だったのだろうか?
 俺は彼女にあんな行為をしてもらうことを望んではいなかったんじゃないのか?

 ……………

 次の日、俺はいつもの時間にいつものようにコンビニへ晩飯を買うためにアパートを出た。
 もちろんいつもの道を通って……

 俺の足取りがゆっくりしたものになってほんの数秒後、
これまたいつも通りに犬を連れた少女が角を曲がってきて前方に現れた。
 俺はそれを確認すると深く息を吸い込んで足を早めて近づいていく。
 こころなしか少女の方も足早にこっちへ向かってきているように見える。
 そしてお互いの顔がはっきり見える距離まで近づくと、
彼女の方から話しかけてきた。

「こんばんは、永瀬のお兄さん」
「やあ、珠美ちゃん」
 軽い挨拶をすると珠美は駆け足で俺の側まで来る。
「昨日は……そのぉ……楽しかったですね」
「……そうだね」
「……もう、痛くないですか?」
「ああ、大丈夫」
「……そうですか……」
「うん」
「……あのぉ、今日これから暇ですか?」
「いや、これから用事があるんだ」
「……じゃあ、明日は?」
「……明日も……明後日も。当分暇な時間なんてなさそうだよ」
「……そう、なんだ」
「ああ」
「……」
「……じゃ、またね」
「あっ! ……うん、ばいばい……」
 俺は極力そっけなく答えるように心がけて会話をすると言葉の途切れた瞬間を見極めてその場を離れる。
 それでいて背後の気配には細心の注意を払っていた。

 次第に遠ざかっていた珠美の足音が突然止まる。
 それから間もなく荒い息を吐いて近づく小さな足音が聞こえてきた。

 ……来たっ! 予想通りだ!


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