意地を選んで恥辱にまみれ-6
「ええかっこしきれんと口滑らせよった。首領(ドン)の妻ちゅうてえばっとる女が、騙されて罠にかかって、情けのうてしゃあないザマさらしとるのがテレビに垂れ流れじゃあ。ホンマおもろいでコレ。お堅い『時事ステーション』出させたんが大当たりやったかもしれんな。筑波ちゅうオッサンええ仕事しよるわ」
大はしゃぎする大谷だ。
利害関係で繋がる企業や政治家などにパイプが多い帝龍会は、いざとなればメディアを好きなように操れる。
ビジネスマンである局の上層部は、札束で面をひっぱたかずとも組織の論理に従って意のままに動いてくれるが、筑波の如きジャーナリストはそうもいかない。
御しがたい難物のメディアを敢えて選んだのが大正解であった。
大谷は老練な極道の勝負心から大博打に出て、見事に勝ったのである。
画面の中で朱代が熟れた美貌を困惑の色に染めている様を眺め、大谷はヒートアップした。
梶谷凛子のプリプリした尻をこれでもかと突きまくり、獣のような唸りを発する。
絶頂が近づいていた。
「大谷さんっ……凄いっ! 凄すぎるうぅ!! 壊れちゃうよぉ、もう許してっ、これ以上イッたらおかしくなるうぅ……」
十九歳の女子大生にあるまじき発達しきった膣肉をキュンキュン締めつけ喘ぐ凛子。
「まだや……まだまだやでえ。番組がもっとおもろなるまで我慢しとるんや。一番ええとこでザーメンぶちまけたるさかい、まだ付き合うたらんかい!」
パンッ! パンッ! 凛子の尻を激しく打ち鳴らし、大谷のピストンは続いた。
「言葉の綾です……お気になさらないで下さい。とにかく、ギャラのことは後から付随する問題と思って頂いて結構です」
朱代が逃げると、
「出回っている音声では、あなたが十億積まれたら出てもいいと仰っているんですよね。あれは何かの席で冗談を言ったところをこっそり録音したもののように、私には思えたんです。やはり何者かの策略であなたは陥れられているのではありませんか?」
別の角度から筑波は問い詰めてきた。
「……ご想像にお任せします」
頭の中には、自分は何も言わずAVに出て梶谷の妻子、そして梶谷本人の面子を守らねばならないのだと、強い覚悟がある。
朱代の口から罠の全容を語ることは、極道として子の恥を晒す愚行になる。
それは同時に、親たる朱代も渡世の体面を失する結果となるのだ。
黙って全てを呑み込んでAVに出るほうが、極道の妻としての恥は薄い。
口の重い朱代を置き去りにするかの如く、番組終了時刻は迫った。