責任-7
この日のプライム・ゼロは、全てナダルミックス社社員の中本首謀による売春接待の事件に費やされた。しかし誰一人としてクレームをあげる視聴者はいなかった。身内の事件を隠蔽せずにいつものように全力で取材する姿勢は一定の評価は得た。
何よりの論争はテレビで陰毛まで見せた奈々の行為にほぼ絞られていた。
テレビでマン毛見せちゃいけないだろー!、的な意見は男性から多く寄せられたが、多くの視聴者は、自分の知られたくない過去を暴露し、全裸になってまで謝罪の意を見せた奈々を肯定的に受け取る者が圧倒的に多かった。これを機にヌード写真集を、AVに、と冷やかす書き込みも目立ってはいた。
そして番組は終わりの時間に近づく。ここで社長である宮崎雄太がテレビに向かって謝罪する。
「今回は世間を揺らがすこのような事件に関わってしまい、誠に申し訳けございませんでした。改めて、謹んでお詫び申し上げます。先程緊急会議を行いまして、処分を決定致しました。今回このような事件に関与してしまいましたが、しかしプライム・ゼロで取り組んで参りました女性の権利に関しましては、誇りを持って取り組んで参りましたのは事実です。このような卑劣な行為により、その誇りを失うのは日本にとっては損失だと言う結論に達しました。よってジャパンTVはこの瞬間から生まれ変わります。私を始め、男性社員は本日をもって解雇、今後は女性だけの会社として生まれ変わります。今回は誠に申し訳ございませんでした。この人事によりこの事件に対する責任に変えさせて頂ければ幸いだと思います。」
衝撃の発表後、深々と頭を下げた社長の姿を映し、放送は終わった。
奈々の全裸、そして男性社員全員クビと言う、あまりに衝撃的な放送に、ネットでは騒ぎが収まる事はなかった。結果として世間はこの対応に概ね納得した。
もうすでに奈々のヌードはネットに溢れて返っていた。やはりAVに出るのではないかと言う憶測に多くの男性が沸き立った。この日の日本人男性のオナペット、ナンバー1は奈々であった。多くの男性が奈々のヌードでヌキまくった。
放送が終わり、一人になりたいと言ってリフレッシュルームに一人佇んでいた奈々の元に里美がやってきた。
「奈々さん、大丈夫ですか?色々…」
奈々を気遣う里美。そんな里美に、無理やりかどうかは分からないが、穏やかな笑みを浮かべる奈々。
「大丈夫に決まってるでしょ…?」
「え??」
意外な言葉に意味が分からずポカンとする里美の肩をポンと叩き、リフレッシュルームを出て行った奈々であった。