責任-5
震えながらブラウスを脱いで床に落とす。奈々の体には黒のランジェリータイプの下着のみ纏われていた。
もうそれ以上は脱がないだろう、さすがに…。それが大半の視聴者が思った事であった。生放送中に裸体を見せるなど聞いた事がない。脱げ脱げと思いながらも、テレビ放送の倫理は守られるものだと心のどこかで思っている。視聴者はここから奈々がどんな責任を取ろうとするのかに注目する。
「テレビでアナウンサーをさせていただき、少なからず度胸はついたつもりです。でも…やはり恥ずかしいです。こんな姿を多くの視聴者の方々に晒し、きっと永遠にネットの中で生き続けるのだと思うと、怖くて震えが止まりません…」
とても演技には見えない奈々の姿に、視聴者の多くは奈々に共感し始める。
もう十分だよ、自分をそれ以上犠牲にしないで、など、女性から多くのコメントが寄せられる。そんな中、奈々は声を振り絞り言葉を続ける。
「リベンジポルノは目に見えない恐怖と戦わなければなりません。しかし今回、韓国人女性の方達は卑劣な日本人男性らにより性的な暴行も受けておりました。体についた痛々しい傷、先程ご覧になった通りです。心身共に苦痛を与えられた彼女達の苦しみを思うと、私は胸が苦しくて仕方がありません。私は、私なりに彼女達の痛みに寄り添いたい…、その決意のもと、被害に遭われた韓国人女性の方々にお詫びをしたいと思っております。」
奈々はそう言って手を背後に回す。
まさか!、マジか!!
ネットが一斉に騒ぎ出す。この時の瞬間視聴率は60%を超える勢いを見せていた。そんな中、奈々の手はブラジャーのホックを外す。緩むブラジャー。奈々は左手で胸を隠しながらブラジャーを脱ぎ床に落とした。そして凛とした姿勢のままカメラをジッと見つめ、ゆっくりと左手を下ろした。
奈々の上半身裸の映像が全国、いや世界中に流れた。多くの録画と言う媒体にも奈々のヌードが記録される。日本中がどよめいた瞬間であった。
「私の恥ずかしい姿は、これで永遠に皆様の目に晒される事でしょう。必死で削除しても削除しても絶対に消えぬ私の汚点に、私は一生恥を感じながら生きて行く事になります。誰と話しても、誰と会っても、私は自分の裸を想像されながら生きて行くのです。」
まさに熟れた女の美しすぎる肢体であった。女性は美しいと称賛し、男性はたまらねーと湧き立った。良くも悪くも日本中が騒然となったのであった。