[指輪に願いを]-5
『生活……ヒヒッ…二人だけの〈新しい生活〉があるもんねえ。あの高給取りの金づると赤ちゃん作って、結婚式の時に思い描いた幸せな人生を送りたいよねえ〜?だから奥さんのオマンコには手を出さないであげる。そのかわり、ケツの穴でセックスしようか。アナルセックスってヤツで……ん〜?』
「ッ………!!??」
この提案は全くもって「有り得ない」と言い切れる。
妊娠の危険性が皆無だからといえ、あんな穴をこんな男に預けるなど……それは想像するだけで発狂しそうになる程の恥辱中の恥辱だ……。
『それとも俺の《妻》になるかい?オマンコとアナルに中出ししまくり、ザーメン漬けのセックス三昧の生活をここで送ろうかあ?』
身体への被害の軽重で考えれば、愛人になる方がいいだろう。
だがそれは恭介への裏切り行為であり、妻としての資格を失うに等しい……。
「……じ、自分がしている事が分かってるんですか…?これは……これは立派な犯罪ですッ」
芦澤は少し呆れていた。
今の台詞で諫めたつもりなのだろうか、と。
これを聞いて『そうか、これは犯罪だったのか』と己の行動を恥じ、優乃の拘束を解いて解放させたとしたなら、それこそただの大馬鹿者だ。
しかし、こんな失笑物の台詞を虚勢を張って大真面目に言えるところを見ると、やはり優乃は《天然》なのだろう。
「……あ、あたしは小野原恭介の妻ですッ…あたしは小野原優乃ですッ……ど、どっちかなんて…ッ」
それも言われなくても分かっている。
さすが社会人として未熟なまま結婚した女というのは、常識的な考えが欠落している……。
『……この質問は二択なんだよぉ。なに勝手に三択にしてるんだあッ?』
「キャッ!?ぶぎッ?むぐぐッ!むぎぃぃ!」
あの脅しを見ても恭介への想いを貫く優乃に、芦澤はスタンガンの電撃を浴びせた。
口をタオルで覆って捻じ伏せ、馬乗りになってスタンガンを押し当てる。
『おバカや天然も度が過ぎるとムカつくだけだぞ?ん〜?せっかく俺が譲歩してやってるってのにテメエはあ!』
「ん"〜〜〜ッ!ぶ…ふう!ぶぎぃ〜〜〜〜ッ!」
強烈な電撃を喰らうたび、優乃の心にはバキバキと皹が入っていき、そしてグズグズに砕けて折れ曲がっていった……。
(ダンナ様、助けてぇッ!このままじゃ私…ッ!)
優乃は肩を揺らせて泣いている。
凶悪な隣人に囚われた幼妻は、我が身を守る術すら見失ってただ泣きじゃくるだけだ。
『これでまだ分からなかったらただの馬鹿だ。ほら、昼の間だけ愛人になってアナルセックスするか、俺の妻になって孕むまでヤリ捲るか早く答えろぉ』
トドメとばかりに優乃の頭をピシャリと叩くと、高圧的な態度で迫った。
どちらを選んでも優乃にとっては地獄……芦澤は顔が蕩けそうになるのを必死に堪え、幼妻の返答を待った。