保健教師 美沙(2019/12/15)-2
「どうぞ。」
美沙の声を合図に、健二がドアを開けて中に入ってきた。
健二はおそるおそるといった感じで美沙の方へ近づいて来る。
「健二くん、どうしたの?」美沙がやさしく声をかける。
「先生・・・。
実は・・・、昨日の宿題、うまくできませんでした。」
健二は消え入りそうな声で美沙に話した。
「そうだったの・・・。
でもね、健二くん。
大丈夫。
最初はうまくつけられない人は結構いるのよ。」
「そうなんですか?」
「そうよ。だから気にしないで。
それで、どんな感じになっちゃったの?」
「えっと、つけようとすると、そのぉ・・・。」
健二が口ごもる。
こういう時、無理に生徒に何か言わせようとしても、逆効果になることを
美沙は分かっていた。
美沙はそれ以上自宅での様子を聞くことはせず、
健二に話しかけた。
「健二くん、ここでつけてみましょう。」
「え? ここで?」健二が驚きの表情を浮かべる。
「そうよ。
びっくりした?」
「そりゃぁ・・・、はい。」
「健二くん、これは大事なことなの。
もし、健二くんがコンドームを使う時が本当にやってきて、
その時に正しくつけられなかったら大変でしょう?」
「それはそうだけど・・・。」
「健二くん、私は保健の先生なの。
こういうことには慣れているわ。
去年も健二くんの先輩達に同じ宿題を出したんだけど、
何人かはうまくつけることができなくて、ここで私が教えてあげたの。」
「え?そうなんですか?」
「そうよ。
だから、ここでコンドームのつけ方を教わるのは、
健二くんだけではないってこと。
恥ずかしがらなくていいいの。
どう? 安心した?」
「そういうことなら・・・、僕だけじゃないのなら・・・、はい。」
* * *