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最後の、最高の学園祭
【学園物 官能小説】

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本番に向けて 合宿1日目 その8  吹っ切った愛依の再出発-3

二人は縺れるようにベッドに倒れ込んだ。
それでも強く抱き合ったまま、離れなかった。
「将暉、くん。」
「どうした?」
「このまま。」
「このまま?」
「このまま、少し、抱き締めていて、くれ、る、かな。」
「抱き締めるだけ、か?」
「そう。抱き締める、だけ。」
「ボディータッチは?」
「なし。」
「え〜?マジ?」
「マジ。」
「じゃ、キスは?」
「なし。」
「マジ?」
「マジ。」
「抱き締めるだけ?」
「そ。抱き締めるだけ。」
「わかった。」

「あったかい。」
「………。」
「気持ちいい。」
「………。」
「安心だ。」
「………。」
「どうしてだろ。」
「………。」
「どうして今まで抱き締めてもらわなかったんだろ。」
「誰に?」
「誰にも。」
「誰にも?」
「うん。突っ張ってた。無理してた。我慢してた。」
「………。」
「辛くても、寂しくても、泣きたくても、抱き締めてもらいたくても、ずっと………。」
「愛依………。」
「だって、泣いちゃうもん。抱き締められたら泣いちゃうもん。負けちゃうもん。」
「………。」
「一度弱気になったら、もう、突っ張れないもん。泣いたら負けちゃうもん。」
「愛依。お前さ。」
「なに?」
「いや、いい。」
「うん。」

「将暉、君?」
「将暉でいいよ。」
「まさ、き?」
「ああ。それでいい。」
「将暉。将暉。ま、さ、き。」
「なんだよ。」
「なんでもない。」
「まったく。」
「うん。」

「…将暉?ねえ。」
「………」
「将暉?ちょっと。」
「………。」
「ねえ、将暉ってば。」
「………。」
「信じらんない。ちょっと〜。」
「な、なんだよ。」
「ねえ、今、寝てたでしょ?」
「寝、寝てねえよ。」
「うそ!反応、無かった。」
「寝、寝て、ました。」
「みなさ〜ん。3Cのみなさ〜ん。」
「ごめんごめん。」
「まったく。なに考えてんだか。」
「だってよ〜。抱き締めてるだけじゃ眠くもなるだろが。」
「ダメ〜。」
「キスくらい、いいだろ?」
「うん。わかった。」
「少し触るくらいも?」
「……う、ん。」


「愛依。ここ、どう?」
「………。」
「愛依?これ、いやじゃない?」
「………。」
「愛依?………マジかよ。そうだよな。ずっと無理してたもんな。」

将暉は愛依の顔を覗き込んだ。
瞼にはうっすらと涙が浮かんだままだった。
将暉はそっと唇を寄せてその涙を吸った。
(これからはオレが守ってやるからな。)
将暉は愛依から離れようとした。
背中に回った愛依の手はなかなか離れない。
(仕方ねえなあ。オレもこのまま寝ちまうか。)

将暉は愛依の身体をもう一度自分の方へ引き寄せ、そっと抱きしめた。
夢でも見ているのか、愛依の顔に微笑みが浮かんだ。

将暉は時間のたつのも忘れ、愛依の顔をじっと見続けていた。



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