初めてのレズ-3
翌日、プライム・ゼロの放送が終わると、奈々は岳斗のマンションに呼び出された。
(世の中で一番抱かれたくない男に呼び出されて、好き勝手に弄ばれて、そして中に出されて…。でも拒めない私ってホント情けない女…)
奈々は自分をそう悲観しつつも下半身の疼きには気付いている。あの忌々しいニヤケ面で犯されている自分を思うとどうしても下半身が疼いてしまう。奈々にとって岳斗は強敵だ。敵が大きければ大きい程に奈々は興奮を覚えるのであった。
フロア玄関を開けてもらいエレベーターで最上階まで上がり岳斗の部屋の前に立つ。ドアが開くといつものようにニヤニヤした岳斗に迎えられ部屋に入る。
「ん?」
奈々は玄関にあるハイヒールに気づく。誰か客がいるようだ。しかし岳斗の事だ。わざわざ自分が来る時間に部屋に女を上げていると言う事はただの客ではない事は分かった。今日はどんな事をさせられるのだろう…、奈々は少しワクワクするものを感じた。
部屋に上がりリビングに向かう。そしてソファからこちらを睨んでる女性に目を向ける。それが誰なのかはすぐに分かった。世の中で一番憎たらしい女だからだ。
「う、宇垣…さん…。」
まさかの女はだった。同時に奈々が憎んでいると知ってて顔を合わせさせるあたりが岳斗っぽいなとも思った。里美の顔を見た時だけは素で憎しみだけが湧き上がった。
「お久しぶりでーす。」
憎らしいほどの可愛らしい後輩ぶった笑顔で奈々に言った。
「どこのスキャンダルアナウンサーがいるのかと思ったわ?」
「酷いじゃないですかー。可愛い後輩に向かってぇ。」
「元・後輩だけどね?」
「でも可愛い元・後輩のおかげでプライム・ゼロのキャスターの椅子に戻れたんだから、感謝してくれなきゃですよぉ?」
「スキャンダルがなくてもあなたにはプライム・ゼロは無理よ。せいぜいサンジャパのおふざけ中継ぐらいしかあなたに出来る仕事はないわ?」
「もう、酷い先輩ですねぇ。」
馬鹿にし続ける態度の里美に奈々は怒りを露わにする。
「先輩とか呼ばないで!!あなたを後輩だと思った事は一度もないわ!」
本気で怒る奈々に、里美は全く動じず、相変わらず人を食ったような態度で更に奈々を刺激する言葉を言った。
「確かに先輩の彼氏だった岳斗を寝取ったのは悪いとは思ってますからぁ。でも岳斗、良く私の体で気持ち良くイッてましたよ?一晩で何回も何回も求めて来るんだもーん♪」
その発言に奈々はとうとうキレた。
「ふざけないで!!殺してやる!!」
荷物を投げ捨て里美に襲い掛かろうとした瞬間、岳斗が奈々を抑えつける。
「僕の為にぃ、争わないぃでぇ♪」
そう口ずさみながら信じられない言葉を言った。
「仲良くしろよ?今からレズるんだからさー♪」
「えっ…?」
耳を疑った奈々。この時ばかりは何の刺激も喜びも感じなかった。死んでも嫌だ…、それが素直な気持ちであった。