真奈美のストレス解消 その2-3
真奈美は潤一にすべてを委ね、ただ立っていた。
考えてみると、真奈美は自分から脱ぐことはあっても、
こうしてそっと男の人に服を脱がされるのは初めてだった。
敏明との初めての時も、真奈美は敏明に言われたことに従い、自分で服を脱いだ。
敏明の治療の時だっていつも自分で服を脱ぎ、敏明に向き合うのだ。
こうして優しく服を脱がされた記憶、
それは幼いころに母親や父親と一緒に風呂に入る時の記憶だけだ。
(お洋服を脱がされるのって、こんなにドキドキするんだ。)
耳にしたイヤフォンからは静かで落ち着いた感じの音楽が小さく流れている。
潤一も言葉を発することなく、静かに真奈美の服を脱がしていく。
真奈美自身も、何か話をしてはいけないような雰囲気さえ感じていた。
そんな不思議な緊張感を察したのか、紗理奈が声をかけた。
「ふふ。真奈美ちゃん。なんか緊張しちゃったかな?」
「あ、うん。なんか、ドキドキしちゃって。息するの忘れてた。ふ〜。」
「そっか、でもリラックスだよ!ワクワクの方のドキドキでいいんだからね。」
「あ、そっか。ワクワクの方のドキドキだ。」
真奈美は笑顔で答えた。
(ワクワクのドキドキって、なかなかないよなぁ。
とし君に検査してもらった時はドキドキがほとんどだったもん。)
潤一の手が真奈美の両肩からブラウスを外した。
花柄のかわいらしいブラジャーが現れた。
「まなちゃん。可愛いブラジャーだね。」
「うん。可愛いでしょ?お花模様なんだよ。
真奈美、このブラジャ、とっても好きなんだ。」
その無邪気な言い方に潤一の心は再びときめいた。
「まなちゃん。また抱きしめてもいい?」
「潤一君の好きにしていいよ。真奈美、潤一君のこと、好きだし、信じてるから。」
「そりゃあ嬉しいな。」
「真奈美ちゃん。潤一君のこと、気に入ってくれたんだね?」
紗理奈が実の姉のような優しい笑顔で話しかけた。
「うん。紗理奈おねえちゃんが言う通りに優しい人だし、信じてもいい人だよ。」
「信じてもいい人かどうかなんて、真奈美ちゃん、分かるんだ。」
「うん。言葉が震えてるか震えてないかでわかるんだ。」
「言葉が震える?」
「うん。真奈美はね。言葉が震えてる人のことは信じないんだ。」
「そうなんだ。言葉が震えるって…。声が震えるってことだよね?」
「ううん。言葉が震えるんだよ。声じゃなくて。」
「言葉が震える?そっか。声じゃないんだ………。」
紗理奈は音楽のボリュームを上げた。
「ちょっと潤一。あなたは何をしに来たんでしたっけ?」
「いや、真奈美ちゃんの言うことって、ものすごく深くてさ。
思わず引き込まれちゃうんだよな。」
「真奈美ちゃんを快楽の海に引き込むのがあなたの役目でしょ?
真奈美ちゃんに引き込まれてどうすんのよ。まったく。」
「いや、それだけ素晴らしい女性だって言うことだよ、真奈美ちゃんは。」
潤一は紗理奈に言われるまでもなく、おしゃべりが多すぎることを自覚していた。
けれども真奈美と話をすれば話をするほど、
その不思議な魅力に引き込まれていったのだ。
少なくとも、こんな女の子に出会ったことはなかった。
幼いというだけならどこにでもいる。
純粋という言葉だけでは言い尽くせない、不思議な魅力だった。
少したどたどしくさえ感じられる口調から発せられる言葉は、
思わず心の内を言い当てられたかのような鋭さも持ち合わせていた。、
それでいて不思議なことに心が傷つくこともない。
簡単な言葉を並べただけなのに真理を告げられたような、
そんな感覚の女の子だった。
おそらく紗理奈も、敏明も、そして敏明の家族たち全員が、
真奈美と出会った当初には感じていたことなのかもしれなかった。
それが月日を重ねるにつれ、ごく当たり前のように思えて来ただけのことなのだ。
真奈美は年齢とともに確実に成長してきている。
身体の変化もさることながら、知識の面でも多くのことを学んできた。
しかし、心の美しさと感性、感受性だけは子どもの頃のままだった。
潤一はこれ以上の行為は真奈美を辱めているのではとさえ感じ始めていた。
潤一の目が紗理奈に助けを求めた。
「どうしたの?ただ抱きしめてるだけ?」
「いや、ぼくにはもうこれ以上のことは………。こんなに純真な子に………。」
「潤一。真奈美ちゃんはね、確かにあなたの言うとおりに純真な心の持ち主よ。
あなたがなにか神聖なものを感じちゃうのもわからないでもないわ。
でもね、身体はもうすっかり成長した、女、なの。
あなたに抱き締められているだけで、この子は癒されている。
でも、癒されてるだけじゃないのよ。
もう少しずつ、感じ始めているはずよ。
それはもちろん、女として、ということ。
今の真奈美ちゃんに必要なのは優しく抱きしめることじゃない。
優しく、そして確実に女の絶頂に導いて、満足させてあげることなの。
あなたが癒されていても意味がないのよ。」
「だけど、ぼくは真奈美ちゃんの身体を見ても、きっと勃起しないと思う。」
「そうかしら。わたしにはそうは思えない。潤一も、夢中になるはずよ。
真奈美ちゃんの身体やテクニック。溺れても知らないわよ。」
いつもの潤一らしくない、紗理奈はそう思った。
おそらくこのままの状態では、潤一が真奈美をリードで出来そうもない。
そう感じ取った紗理奈は一計を案じた。。