12月:クリスマス-3
「俺は知っての通り広報なんだけど。海外の商品を扱うことが多くて出張が多いんだ。
だからなかなかデートにも誘えなくて
仕事にかまけている間にほのかちゃんはアイツと付き合いだして」
海外出張が多いとは青木に聞いていた。
ゆっくりと前を歩く青木と葵について行くと
赤レンガ倉庫に着いて。
すっかり改装された赤レンガは綺麗に鈍くライトアップされていて
倉庫と倉庫の真ん中におっきなおっきなツリーがキラキラと輝いていた。
ツリーを際立たせるためにツリー以外の灯りは暗くて。
周りはカップルばかりで・・・
私と秋田さんが手をつないでいるのなんか
誰も気にしない。
「アイツが転勤になって、ほのかちゃんの元気がなくなって
いつも眠い顔をしていた」
そう、なの?
「アイツに時間を合わせるために無理をしているんじゃないかと思ったら。
俺だったら、ほのかちゃんにこんな顔はさせないと思えて・・・」
ドイツとの時差は思った以上に辛い。
「悔しかったんだ」
その言葉とともに秋田さんが私の手をギュッと握った。