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THE 変人
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切ない幸せ-3

顔を赤らめ不安げな目で見つめ返す幸代のそんな表情は今まで見た事がなかった。そこには明らかに会社の後輩としてではない幸代がいた。そんな幸代がゆっくりと目を閉じた。そして唇を微妙に振るわせていた。その唇を見つめる海斗。キスしていいの?そう聞きそうになっだがやめた。変人が珍しく空気を読んだ。ゆっくりと顔を寄せ唇に唇を寄せる海斗。海斗にも緊張が走る。海斗は目を閉じる事なくずっと幸代を見つめていた。

そして今まで後輩としか思っていなかった幸代に唇を重ねた海斗。その瞬間、後輩以上の関係になった実感が湧く。唇と唇が触れただけなのに愛と言う情が湧いた気がした。海斗はゆっくりと目を閉じ、幸代の唇の感触に胸をドキドキさせた。上体を浮かせていた海斗だったが、ゆっくりと倒して行き、まさに体を重ねた。幸代の体温が伝わる。そして柔らかな女体の感触を全身で感じる海斗。肌と肌の触れ合いが幸代との新たな関係を予感させた。

そんな不思議な感覚に包まれている時、ふと幸代が鼻を啜る音が聞こえた。海斗が目を開けると、閉じられた瞳から涙が伝うのが見えた。海斗は幸代の涙に動揺が隠せず、唇を離す。
「ど、どうしたの…?」
海斗が問いかけると、幸代は悲しくも照れくさそうに無理に笑いながら言った。
「切ないよぅ…」
と。その意味が海斗には分からなかった。やはり無理してるのかも知れない、そう考えた海斗はすぐに答えた。
「やっぱり、やめようか…?」
と。幸代は鼻を啜り、涙を拭きながら答えた。
「抱いてもらえなかったら…もっと切なくなります…」
そう言って海斗の首に手を回し自らキスをした。まるで不安を振り払うかのように幸代自ら舌を絡めてきた。完全に受け身の海斗の舌に積極的に絡めてくる幸代。次第に海斗もそれを受け入れてお互いの舌を艶かしく絡め合った。

幸代は別な女性を愛する男を愛する勇気が欲しくて海斗とのセックスを求めた。しかしそこに待っていたのは切なさであった。別な女を愛する男を愛する切なさに、幸代は切なくなり、胸が苦しくなった。勇気が待っているとばかり思っていたが、待っていたのは切なさであった。幸代はその切なさに涙を堪える事が出来なかった。そしてその切なさを振り払うには海斗に最後まで抱かれる事だと思った。しかし本当はわかっていたのかも知れない。それが更なる切なさになる事を。しかし幸代には海斗に抱かれる事以外、自分の愛を信じる術がなかった。どんなに苦しくて切ない現実が待っていようとも、幸代は自分の愛を貫く事を決めたのであった。

「ああん…」
海斗に乳首を吸われ体中に甘い電流が駆け巡る。下半身が反応し男を迎え入れる準備をし始める体。胸を揉まれ乳首を吸う海斗の髪をかき乱す。瀬奈もこんな幸せを味わったのかな、そう思うことは封印した。乳首は既に恥ずかしい程に張り詰めていた。指で摘まれ与えられる刺激に幸代は控えめな喘声を溢しながら愛する男の温もりを感じているのであった。

甘く、そして切なく過ぎていく時間。幸代は自分には向いていないであろう海斗の愛情を少しでも感じようと、その身を海斗に預け、自らの愛情は全て海斗に向けた。エクスタシーの瞬間、全てを忘れて昇天した幸代。自らの愛を貫く勇気を得たような気がした。


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