切ない幸せ-2
(やべぇ、緊張する…。まさか幸代とこんなことになるなんて…。)
こんなに緊張するのは久しぶりだった。幸代とセックスするなんて全くの想定外だ。どの面を下げてキスをして、そしてセックスすればいいのか悩むところであった。取り敢えず入念に体を洗う。
(勃つかなぁ…)
それが心配であった。海斗はペニスを握りシコシコしてみる。すると勃つには勃つが勃起力が足りない。手を緩めるとすぐに萎えてしまう。海斗は初めて風俗に行った時、緊張からかなかなか勃たなかった事を思い出した。
「やべぇかも…」
何とか勃たせようと必死でしごく海斗。すると半フニャ状態でモヤモヤしてきた。イキそうになるとグンと堅くなる。
「ヤバいヤバい、出ちゃう!」
咄嗟に手を放す。すると射精に向けてせっかく堅くなったペニスがすぐに萎えて行く。
「つ、使い物になんねー!」
海斗は1人、頭を抱えた。あまり遅くなると不審がられる。海斗は不安を抱えながらバスルームを出て体を拭き服を来てリビングに戻る。
「あれ?」
そこには幸代の姿はなかった。人の気配もない。
「もしかして…」
海斗は二階へ上がり寝室の電気をつける。するとベッドの中に入り顔だけ出し海斗を見つめる幸代がいた。ベッドの横には服が畳まれて置いてある。下着はないところを見ると、下着姿である事が想像出来る。海斗の緊張が更に高まった。
「は、早いね…」
海斗は照れながらそう言うと、幸代も照れながら答えた。
「うん…」
と。
「な、何か緊張すんな…」
「私もです…。」
幸代はそう言って顔をシーツで隠した。幸代の顔が見えなくなった事で服が脱ぎやすくなった。
(幸代が勇気を出してんだ、男を見せろ、海斗!!)
海斗は自分を鼓舞するとシャツとズボンを脱ぎパンツ一丁の姿になり、いよいよ幸代の待つベッドの中へと恐る恐る体を入れる。
隣に並ぶように寝る海斗。幸代の肩と肩がくっつく。幸代の体温が伝わるとドキッとした。
「何か、緊張しますね…」
「ああ…。」
どんな会話をしていいのか分からない。お互い無口になり並んで天井を見つめていた。
「海斗さんと、こうなる日が来るとは思わなかったです…」
ふと幸代が言った。
「俺もだよ…」
海斗は頭をかいた。
「ただの遊びだと思ってください…。重い女にはなるつもりはありませんし、私も遊びのつもりですから…」
そう言った海斗だが、ただの遊びで軽くセックスするような女ではない事は海斗が一番良く知っている。海斗はこれ以上幸代に思ってもいない言葉を言わせるのは悪いと思った。海斗は意を決した。海斗はベッドの中で体を動かして幸代の体の上に覆い被さり、これ以上ないぐらいの真剣な眼差しで見つめたのであった。