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[幸せな隣人]
【鬼畜 官能小説】

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[お隣の奥様は女子高生…?]-1


泣きたくなるほど青く澄んだ空に、モクモクと入道雲が立ち上っている。

お盆を過ぎてもしぶとく残る猛烈な暑さを凌ぐのにエアコンは必須ではあるが、真昼間からカーテンまでも閉めきった部屋というのは『何かある』と勘繰りたくなる。

陽炎の揺らぐ住宅地。
平日にも関わらず、区画の奥寄りの家の車庫の中に車は止まったまま。
エアコンの室外機がブンブンと呻るその家の二階の部屋は、なんとも不気味な静けさを保っていた。


『もっと……フフッ…もっと虐めてやれ……』


その部屋の中に男が一人いた。
男の名前は芦澤義和という。
30才の後半を迎えた男は平日だというのに自室に籠り、ニヤニヤしながら拘束された女性を陵辱するAVを鑑賞していた。

二階にいるのだから外からの視界を気にする必要はない。とはならなかった。

その男の家の隣には新築の家が造られていた。
住宅地の一番奥に建てられているその家は、区画を二つも占有する大きな家だった。
大勢の大工や内装屋が仕事をしている直ぐ側で心行くまで御楽しみ≠ェ出来るはずがなく、悲鳴や喘ぎ声が外に漏れぬようイヤホンをつけて自慰に耽る毎日を送る。



……数週間前まで芦澤は有望な社員だった。
某会社で営業部長を務め、十数人の部下を抱えて夜遅くまで働く日々を過ごしていた。

そんな男が何故にこんな落ちぶれた生活をしているのか?
それはセクハラで部下に訴えられてしまったからである。

成績が伸び悩んでいる女性の部下の営業車に同乗した時、芦澤はその女性に触れてしまった……。

いや、確かにあの女性は芦澤を誘っていた。
悲しそうな顔をしながら意味ありげに何度も足を組み直してはスカートから太腿を晒し、腰の括れを際立たせるように上体を捻り、胸を寄せ上げるように腕を交差させて迫り……芦澤が肩に手を乗せても嫌がる素振りすら見せず、ルージュに煌めく唇は堪えきれない昂りに尖っていたはず……いやいや、これらは全て芦澤の思い違いだったのだ……キスの直後の女性の豹変した態度に慌てふためいた時には既に遅く、自分の右腕だと信頼していた直属の部下に詰められた芦澤は、社長室に呼び出されて何もかも失った……。

たくさんの部下を抱えた部長であったのに、その部下達の中に、芦澤を弁護する者は誰一人としていなかった。
それは日頃の芦澤の振る舞いにあった。

『出来るか出来ないか聞いてるんじゃない。やる≠だよ』

『オマエがいま悩んでる時間にだって給料が発生してるんだ。俺から言わせりゃ[悩む=サボり]だ。早く働け!』

『実績が全てなんだよ。言い訳に頭を使ってる暇があるなら実績に繋がるトークを考えろ。その頭は髪の毛を弄る為の飾り物かあ?』


他の社員より実績に秀でていた芦澤は、トントン拍子で営業部長に上っていた。
自分の能力を認められた嬉しさは過剰なまでの会社への忠誠心を生み出し、営業部の実績の為ならばパワハラと呼ばれる言動をとることにも躊躇しなかった。

部下からは嫌われ、しかし、上司からはそれほど厭われず……幸いというべきか、騒ぎが社外にまで知れ渡ることはなかったのだが、退職金すら出ない自主退職という名の解雇という形でセクハラ事件は決着となった。
その後、忌々しいことにも芦澤を詰めた直属の部下は入れ代わるように営業部長に昇進し、あの女性とは上手くいっている≠轤オいと風の便りに聞いた。


『嵌められたんだ……』


そうなんだと思う。
だが、女性の身体に触れたという事実に間違いなんてなく、これは如何なる理由を並べたとしても弁明の余地などない……。


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