新たな肉棒-1
いつ呼び出しが来るか不安を抱えながら眠りについた奈々であったが、夕方15時になっても岳斗や優希からは一切連絡は来なかった。放送中にバイブを仕込めと言われる心配もなく、出社は18時だったが、奈々は早めに支度をして出社した。
「おはようございます。今日は早くないっすか?」
まずADの中谷裕太が挨拶してきた。
「おはようございます。ちょっと早く目が覚めちゃったから。」
ニコッと笑い挨拶を返す。
「あ、何か今日は顔色いいですね。」
「そ、そうかな?久々に良く寝れたから。」
「あ、それは良かったですね!じゃあ今日も宜しくお願いします!」
「うん、よろしく!」
岳斗と関わらないだけで人が見ても調子いいんだなと思った。出来れば2度と関わりたくない。しかし無理だろう。岳斗に加えて優希にも迫られるに違いない。奈々はため息を吐いたが、せっかく気分がいいのだ、嫌な事はなるべく考えないようにしようと思った。
奈々がデスクに座っていると夫である藤井直人が声をかけてきた。
「奈々!」
「あ、直人さん!」
いつも帰る時には直人は寝ていて、直人が出かける時には奈々が寝ている。アナウンサーが眠たい顔でテレビに映るのは良くないとお互いが納得しており、起こさないよう注意を払っている。お互いの寝顔は良く見るが、週末の休み以外は起きた状態でお互いの顔を見るのはまずなかった。今日は奈々が少し早めに出社した為、通常17時帰りの直人と顔を合わせる事が出来た。
「来るの早くないか?」
「うん。ちょっと早く目が覚めちゃって。収録の予定とか台本とかチェックしようかなって。」
「そうか。なぁ奈々、ちょっと付き合えよ。」
「うん、いいよ!」
奈々は直人の後についてアナウンス室を出て行った。一服しながらお喋りするのだろうと思った奈々。しかし直人の様子が少しおかしい。周囲をキョロキョロと確認している。そして人気がないのを確認すると第4企画室を開け中に奈々は連れ込まれるような形で入った。
「ど、どうしたの??」
不審に思った奈々は直人を見ると、明らかに発情しているような顔をしていた。
「奈々、溜まっちゃってさぁ…」
「ヤダもう…。明日の夜出来るじゃない。」
「もう我慢できないんだよ!もう5日もしてないんだ。せっかく新婚なのにさぁ!」
「そ、そうだけど…」
もともと結婚したらしばらくはアナウンサーを休職する話であったが、急遽再開する事になり直人には悪いとは思っていた。直人の性欲が強いのは知っている。しかし寝ているところを無理矢理起こされて求められる事はなく、直人には不憫な思いをさせている事は重々理解はしていた。その為直人の気持ちも分からない訳でもない奈々。
(させてあげないと可哀想かな…)
ふとそう思った。