君がくれた永遠-1
一本のタバコを口に加え右ポケットに手を入れ青のライターを取り出す。
シュッ…ボ。
タバコに火をつけ一口吸う。白い煙が空へゆっくり伸び消えていく。
「この煙さえ生きる場所がないんだね……」
静かにそう呟いた。空は澄色で覆われ大地もすべて統一した色が広がっていた。深いため息が漏れる。
そうだよね…、本当にあなたは馬鹿だよ……。あたしなんかを助けるなんてさ……。あなたがくれた命なんてこれっぽっちも嬉しくなんかないよ。
タバコの灰がパラパラと落ちていく。そして、ゆっくりと立ち上がる。
大きく両手を広げた。これでもかっていうぐらい広げた。
その行動に返ってくる返事はただの風だけだった。
君がくれた永遠(上)
「きゃー!遅刻する―――!」
朝からバタバタと朝食、着替えを済ませようとする女の子がいた。彼女の名前は朝霧 礼夢(アサギリ ライム)。彼女は高校3年生。今はあの就職シーズンに値する時期だ。
礼夢は就職も進学も考えてはいない。夢もあるわけでもないし興味を持っているものだってない。つまり今のままで行くとニートというわけだ。
いちおバイトと考えてはいるが両親は猛反対。私はあと四か月の内に決めなければいけない重要な時期でもあった。学校へ行く準備が整い礼夢はソファーへと座りポケットからタバコとライターを取出し吸い始めた。ちなみに親はイタリアへ出張中であるため一人暮らしと同じだ。
ぷかぷかと煙は揺れる。私の頭の中みたいにぷかぷかと何を考えているのかさえわからない。
ふと、時計を見たら丁度いい時間だったので学校へと向かうことにした。
いつもと変わらない道。たった一日で変わるとしたら凄い技術だ。ちらほらと白い雪まで降り積もる。
どうりで寒いわけだ…。
礼夢はバックに無造作に手を突っ込みがさがさと探り目当ての物が見つかった。その手に握られていたのはオレンジのマフラー。
ゆっくりと首に巻き寒さを凌ごうとしたがあまり効果がない。
「さすが安いマフラーだけあるわ……」
ガタガタと肩が震えてきた。さすがの私もこの寒さには耐えられない。ふと辺りを見渡すばコンビニが一件あった。
「丁度よかったー、何か暖かいもの買おーっと」
私はコンビニに入りホットココアを購入した。
すぐさまキャップを外し礼夢は一口飲む。体は暖まってきたがすぐ寒さを覚えた。
「うー、これは中々の寒さだ……」
私はその場をあとにしすぐ学校へと向かった。あそこならば図書室が暖かいはずだ。
私はそう思っていた。しかし、現実はそう甘くはなかった。図書室入り口前に掛けられた貼り紙、そこには図書室の立ち入り禁止の告知。
「つ……ついてないよ〜」
重い足のりで教室へと向かう。本当に教室は寒い…。今この場でたき火をしたいぐらいだ。