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日常Breaker
【コメディ その他小説】

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日常Breaker2-3

「でも、どんなに料理が上手な人でも、この炭はどうしようもないよ」
「大丈夫ですよ。だって、作者は(笑)ですよ?何でもありじゃないですか」
「それは一理あるかも」
「あんがい、炭化した大根から満漢全席を作るかもしれないですし」
「よし、やってみようか。ブサイクでヘタレなうえに文章能力も皆無な、可哀想な神様(筆者)〜!ドジでかわいい料理上手な幼馴染みの女の子を誕生させてください。出来れば、転ぶたびにパンチラをサービスしてくれる……」
「…せんぱい」
「サービスしてくれる必要はないので、お願いします」
沙耶の脅しに屈して、一部の要求を取り下げた泰久。彼が天を仰いで願いを捧げたとき…。
「お〜い。やっくぅ〜ん、いるぅ?」
やたら間のびした声が、玄関から聞こえてくる。
「きたぁ!」
「おっじゃましまぁす♪おっす、やっくん。あ、沙耶ちゃんに華奈ちゃんもいたんだ」
勝手に玄関からリビングへズカズカ入ってくるあたりが幼馴染みらしい。
茶系の軽いウェーブがかかったセミロングの髪で、パッチリとした目がかわいらしい。泰久や沙耶と同じ高校の制服が、よく似合っていた。
「よぉ、朝香」
初対面のはずなのに、泰久は彼女の名前を知っている。名前だけではなく、好きな物や、幼少の頃の思い出などが『思い出された』。
華奈の時もそうだったのだが、会った瞬間に相手の情報が頭の中に入ってくるのである。
ドジッ子幼馴染みの名は、世良朝香。泰久の隣に住む女の子だ。
軽くサミュエルの紹介をした後、早速泰久は、炭化した元大根を朝香に突き出す。
「朝香、出来れば、この炭を使って何か料理を作ってくれないか?俺たちの、人としての尊厳と空腹のために!」
「イジワルクイズ?そんなん無理だよぉ」
「いや、お前ならできる!世界初の炭料理を作ってくれよ」
「やっくんの頼みでも出来ないよ〜」
そりゃそうだ。
「じゃあ、何とか出来たら、茶髪のヅラを被って、スカート丈が異様に長いセーラー服を着て、竹刀を手に『はい、ちゅーもーく!』ってやってあげよう。やっくんだけに!」
「本当!?じゃあ、ガンバるよ!」
よく分からない交換条件に納得した彼女は、炭を片手に、いそいそと台所に向かった。
「これで大丈夫だ」
「お兄ちゃん、本当に『ちゅーもーく』やるの?」
「やるよ。だから華奈、中学のときのセーラー服を貸してくれ。沙耶の制服は、小さすぎて着れないから」
「処分しちゃって、もうないよ」
「じゃあ、自分のウェディングドレスを…」
「それこそ、お断りだ!」そう言われたサミュエルは、少し寂しそうにため息をついた。
「泰久さんのウェディングドレス姿、見てみたかったです…きっとかわいかったろうに」
「な!?どういう意味だよ、それは!」
思わず、泰久は両手で肛門をガードする。
「そっちか?そっちの世界の住人なのか、あんたは?」
「泰久さん、何を言ってるのか、自分には理解できませんよ」
妖しい笑顔を浮かべて、ジュルリとヨダレをぬぐうサミュエル。
「いいか、落ち着け。ここは『その他』のジャンルだからな?『官能』以外でそんなことしたら…」
ジリジリと距離をおく泰久は、沙耶の後ろに隠れる。と、ちょうどその時…。
「オーラムナーラムペンタゴラー、天を照らす父よ。オーラムナーラムペンタゴラー、地に繁栄をもたらす母よ。オーラムナーラムペンタゴラー、光の絶えし炭に命を再び与えたまえー」
台所から、何やら怪しい呪文が聞こえてくる。朝香の声だが、そのトーンは低い。台所には、時折雷のような光が一瞬光る。


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