オンナのウラミ-5
「まぁ、殆どインチキ宗教の教祖様だよな。逆らえば飛ばされるし、消される。だがみんな芸能人になりたくて頑張って来た子らだ。せっかく掴んだ夢を手放したくはないだろう。だから従うしかないんだよな?」
「はい…」
何か莉乃が可哀想に見えてきた里美。
「私が思ってた以上に悪い奴じゃん、秋山って!」
急に腹立たしくなって来た。
「莉乃は最近良くテレビに出てるだろ?って事はそれだけスポンサー様らに気に入られるような事をして来たって事だ。俺もその噂は聞いててな。莉乃の相性はサッシーだけど、それを知る人の間ではサッセーって呼ばれてるんだよな。SKBのサセ子、サッセーってな。」
莉乃は悲しそうに俯いた。
「酷い…。酷いよ!秋山許せない!!暴露しちゃいなよ!あいつに痛い目に合わせないと!!」
里美は自分のことのように腹が立って来た。
「でも他のメンバーが好奇の目にさらされてしまう…。じゃあどうする??」
「分かりません…。どうしたら…」
涙を浮かべて救いを求める莉乃に岳斗は言った。
「秋山を抹殺すりゃいいだけさ。」
自信満々にそう言い切った。
「こ、殺すの…?」
「ああ。社会的に、な?くくく…」
里美も莉乃もキョトンとして岳斗を見つめた。
その時、またインターホンが鳴った。里美がモニターを見ると、また知っている顔だった。が、今度は顔を真っ赤にして怒りの表情を見せた。
「あ!こ、こいつ!!高橋健司!!」
高橋健司とは、里美がプライム・ゼロのキャスターだった時に里美のスキャンダルを撮り出版社に売ったカメラマンだ。里美を失脚した張本人だ。当然里美は憤慨する。
「どうしてコイツがここに来るのよ!?岳斗、グルだったの!?」
「違げーし!奴とは今日が初対面さ。まぁ良く言うだろ?昨日の敵は今日の友って、さ。まぁ冷静になって俺にまかせろ。」
そう宥められたが、会ったら刺してしまいそうな程恨んでいる。何とか気持ちを抑えて到着を待った。
そして部屋に招かれた健司。
「チーっす!いやー、さすがに凄い部屋だなー。さすがトップアイドルだ。」
初対面の人間の部屋を我がもの顔で下品にキョロキョロしながら入って来る健司を里美は鋭い視線で睨みつけていた。