第3章 拘束-1
≪たっぷり苛めるか≫
「ビールでも飲みましょうか」
陽子がシーツに顔を埋めて泣いている隣で、智之は冷蔵庫から取り出した缶ビールをプシューと開けていた。
「先生、もっと楽しもうよ」
ビールを一口飲んだ智之は、陽子の体を後ろから抱えてきた。
「触らないでよ!」
体を捩って振りほどこうとしても、羽交い絞めにされると、身動きがとれない。
「ははは、怒ってる。」
「当たり前でしょう!」
「まあ、いいけど。さあ、飲んで」
智之は陽子の顎を掴んで、開いた口の中にビールを注ぎ込んだ。
「あ、あ、うぅぅ……」
「はいはい、ゆっくりゆっくり、急がない、急がない」
「ゲホッ、ゲホッ……く、苦しい……」
陽子はむせて咳き込むが、智之は止めようとはしない。咳き込むのが収まると同じように流し込み、立て続けに2本も飲まされてしまった。
「うっ…うっぷ、うっ、うっぷ…」
酔いが回り始め、体がふらつくが、それ以上に喉の奥から何度も突き上げてくる不快なげっぷに陽子は苦しんでいた。
だが、そうしている間に、智之は赤いリュックから手錠を取り出していた。
「あっ、何をするのよ」
「へへへ、気にしない、気にしない」
陽子は抵抗する間もなく右の手首と足首を、続いて左の手首と足首を手錠で繋がれてしまった。