投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

最後の、最高の学園祭
【学園物 官能小説】

最後の、最高の学園祭の最初へ 最後の、最高の学園祭 16 最後の、最高の学園祭 18 最後の、最高の学園祭の最後へ

本番に向けて 合宿1日目 その1 -5

ここ204号室。

中町倫也が部屋に入ってきたときには、
すでに長野愛依は自分の荷物を整理を終え、
ドレスコードBの、なぜか上下ジャージ姿に着替え、机に向かっていた。

「愛依、、ちゃん。」
倫也は部屋に入り、愛依に声をかけたが、まるで返事がなかった。
机に向かい、時々頭を抱えながら何かと格闘していた。

倫也がさらに近づき、愛依の耳元で呼びかけた。
「愛依ちゃ〜ん。」
「あーー、びっくりした。」

一瞬、倫也の顔を見ただけで、愛依はすぐに机に向かってしまった。
倫也は邪魔をしないよう、物音を立てないようにして、荷物を整理し、
Bコードのラフなスタイルに着替えた。

愛依は相変わらず、机に向かっていた。
時々、顔を上げては壁の時計をにらみ、また慌てて机に向かう。
机の上に置かれたノートには、細かい文字がびっしりと並び、
なん箇所も赤で訂正してあるのが見えた。

「少し休めば?」
倫也が愛依の目の前にコーヒーを差し出した。
「ぅあ。あ、ありがと。」
愛依は、一旦背伸びをした後、ゆっくりコーヒーをすすった。
そして急に我に返り、倫也に視線を合わせるといきなり立ち上がった。

「マー君、、じゃなかった、と、倫也君。
 ごめんなさい。ホント、ごめんなさい。」
「どうしたの?愛依ちゃん。いきなり謝り始めてさ。」
「あ〜。だってわたし、倫也君が入ってきたの、全く気付かなかった。
 今迄、ずっと一人でいたんでしょ?
 ほら、着替えだって終わってるし、コーヒーまで入れてくれて。
 ごめん、ちっとも気づかなかった。
 それに部屋に入ってから ちゃんと挨拶もしてない。
 あ、明日の朝までよろしく。」

「こちらこそ。ふふ、変わらないね。愛依ちゃん。」
「変わらない?わたし、倫也君と面識あったっけ?
 えっ?半分・・・まさか幼馴染とか?」
「そうじゃないよ。昨日の勢いそのまま、ってこと。
 愛依ちゃんと幼馴染だったら、
 もうとっくに話しかけてたよ。入学したその日にね。」

「ふ〜。そうなんだ。。。。って、それ、どういうこと?」
「もちろん、似顔絵描いてあげてた、ってこと。」
「ああ。似顔絵、ね。そうなんだ。。。って、どういうこと?」
「そういうこと。ところで、愛依ちゃん。」
「ン?なに、倫也君。」
「今、とっても忙しいんじゃなかった?」
「えっ?あ、いけない。そうだった。」

「愛依ちゃん。初日から飛ばし過ぎだよ。
 っていうか、まだ初日が始まって1時間もたっていないのに、
 そんなんじゃ最後までどころか、夕飯まで持たないよ。」
「だって。。わたしには、責任があるから。」
「責任?」
「そう。みんなをこんなことに巻き込んだ責任。」
「巻き込んだ?」
「そう。訳の分かんないこんな合宿に巻き込んで、
 もしかしたら、みんなの高校生活だって駄目にしちゃうかもしれない。」

「今、何を考えてるの?」
「2日目からの部屋割りと予定の見直し。
 みんなの様子とか見て、修正は加えようと思ってはいるんだけど、
 この先、何をするか、予定は決まってませ〜ん、なんて言えないでしょ。
 みんなだって、見通し、もてなかったら不安でしょ?
 だから、ちょっとでも詳しい予定があったらって思って。」

「でもさ、部屋割りって、ローテーションでって書いてあったよねえ。」
「うん。男子5名、女子5名、それぞれが、
 全員、あ、全員って言っても、異性のことだけど、
 全員の異性と一緒の部屋で過ごせるように、って思ったんだ。」

「うん。それはいい考えだと思う。」
「でも、誰と誰を最初にするかとか、考え始めたらなかなか進まなくて。」

「順番でいいんじゃない?」
「えっ?」
「だから、順番でいいんじゃない?」
「順番で?」
「うん。だって、そもそも、ローテーションって、
 そういうことでしょ?
 最初が決まれば、あとはずらしていくだけ。
 考える必要なんて、ないじゃん。」

「で、でも、2日目よりも3日目の方がいいかな、とか、
 最後の日は誰とがいいかな、とか。。
 いろいろと考えちゃうんだよね。」

「愛依ちゃん。誰と結婚するか、決まってる?」
「と、突然、何、言ってんのさ。
 そんなこと、まだ、わかるわけないでしょ。」

「じゃあ、最初に出会った人と、2番目に会った人と、
 どっちの人と結婚した方が幸せになれる??」
「そ、そったらこと、わかるわけ、ねえべ。」

「愛依ちゃん。それと同じだよ。
 思ってはいても、その通りにならないのが、人と人の関係だし、
 うまくいくとかいかないとかは、本人同士にだってわからない。」
「そうなのかなあ。」

「愛依ちゃん、考え過ぎ。」
「考え過ぎ?」
「そう、考え過ぎ。
 さっき、言ってたでしょ。
 3Cのみんなを巻き込んじゃったって。
 3Cのみんな、だれ一人、巻き込まれたなんて思っていないから。
 むしろ、こんなにドキドキワクワクの合宿なんか計画してくれちゃって、
 みんな大喜び。」
「・・・」

「それに愛依ちゃん、
 もっともっと、みんながワクワクドキドキハラハラするようなこと、
 考えてるでしょ?」
「さあ、みんながそんなに喜んでくれるかどうか分かんないけど、
 一生懸命やろうって。せっかく与えてもらったチャンスだから、
 みんなに賛成してもらった合宿だから。。」

「愛依ちゃん。」
「だから、わたし、なんとか、みんなに。。」
愛依の目に涙が浮かんできた。

「愛依ちゃん!」
倫也はいきなり愛依にキスをした。
愛依は目を開けたまま、倫也の顔を見ようとしたが、
顔が近すぎて見えない。

愛依は目をつむり、身体を固くして、倫也のキスを受け入れていた。



最後の、最高の学園祭の最初へ 最後の、最高の学園祭 16 最後の、最高の学園祭 18 最後の、最高の学園祭の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前