第4章 不倫-6
「37歳にもなって何してんだろ…私…。」
ジーンズを履いたままオナニーしてしまった為、手を抜いた瞬間にパンティからジーンズに愛液が滲んでしまった。上半身は半裸だ。こんな姿を子供に見られたら母親としての威厳はない。周りを見渡し、まだ戻っていない事を確認するとすぐにシャワーを浴びた。
子供達はまだ裏の実家で遊んでいるようだ。涼子はオナニーの痕跡を正してソファに座る。
「オナニーとか…何年ぶりだろう…」
10歳代にして以来だ。急に恥ずかしくなった。しかしほぼした事がないオナニーをしたくなる程、自分に好きな男ができた事は嬉しく感じた。10歳代の頃、好きな人を想いながらした時の気持ちと同じものを今感じている。
「今頃誰と抱き合ってるんだろう、岸田さん…」
他の女子社員の誰かと抱き合っている隆文を思うと胸が締め付けられてしまう。それは紛れも無い嫉妬であった。
(岸田さんは私とエッチしたいんだから…!)
さすがにそう思ってしまって瞬間だけは嫌悪感に襲われた。隆文からの誘いを断っていたのは自分の方だ。女子社員達に嫉妬するのは間違っている事を自認する。
(他の子、みんな岸田さんの事慕ってるし、エッチした上でいい関係を続けてるって事はみんな岸田さんとのセックスに満たされてるって事よね…。きっと上手いのね、岸田さんて…)
考えただけでもまた濡れそうになる。どうも体の悶々が収まらなかった。
こんなに性欲が湧いたのも久し振りだ。いや、ここまでセックスがしたいと思ったのは初めてかも知れない。元々性欲が強い訳ではない自分がオナニーしてしまうぐらいだ、相当なものである事は間違いない。早くもまたオナニーしたくなって来る。
(どうしよう…オナニーがやめられなくなりそう…。)
きっと隆文とセックスするまでオナニーを続けそうな自分。突然発情期に入ってしまったようだ。
(ああんダメ…岸田さんの事考えると体が熱くなって来ちゃう…。どうしよう、明日から岸田さんとまともに話せるかなぁ…)
意識し過ぎてしまう事は確実だ。何とか悟られないよう自分を抑えつけよう、そう思った。
(この歳でこんなにセックスしたいって思うの、おかしい事なのかな…。)
世間がどうなのか分からない為、自分が節操のない女なのか、それが普通なのか分からない。ただし自分はただ単にセックスがしたい訳ではなく隆文とセックスがしたいのだ。隆文に対する気持ちを盾に、自分は決して節操のない女ではないと言い聞かせるのであった。
子供達は実家で寝て朝に戻ると電話があった。涼子はベッドに入り隆文を想いながら更に2回オナニーをした。約10年間、夫とはセックスしていない。久々に快感に浸った体はもはや収まりそうもない。以後涼子は就寝前に声を殺してベッドの中でオナニーをするのが日課になってしまうのであった。