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俺は中村さんとセックスがしたい。
【OL/お姉さん 官能小説】

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第4章 不倫-4

家に帰り洗濯物を畳んだり家事をこなす涼子。夕方になると遊びに行っていた子供2人が帰って来る。夕飯を済ませると2人は裏の実家にテレビゲームをしに行く。
「20時までには戻って来るのよ?」
「はーい!」
元気よく出て行った後、単身赴任の夫から電話が来る。

「いや、忙しくて参ったよー。今日もさっきまで仕事しててさー。」
「日曜まで?大変だねー。」
「こっちの奴ら、ダメな奴ばっか。本当疲れる。」
たいてい仕事の愚痴から始まる。それから今日はどこどこのラーメンが美味いだの何が美味いだのの話になる。毎回そんな内容だが、定期的に毎日電話をくれる事は誠実に感じる。最後に子供達の様子を聞いて電話を終えるのがいつもの事だ。

「早くそっちに帰りたいよ。じゃあな。」
「うん。お休みなさい。」
通話を終えた涼子。今までなら何も感じなかっただろう。しかし佐奈の話を聞いた後、涼子はふと呟いた。
「恋、かぁ…」
と。
思い返せば生活の中でかつて夫と恋愛をしていた事を忘れている自分がいた。毎日の電話も恋愛要素はない。自分は単身赴任当初、暫く会っていない夫に寂しさを感じていた、夫の口からはこっちに帰りたいと言う言葉は聞くが、涼子が欲しいのは早く涼子を抱きしめたい、だ。最近では涼子も色々と面倒だから早く帰って来てくれないかとは思うが、恋人と会えないような寂しさは薄れてしまったように思う。もしかしてシングルマザーでもいけるのではないかと思ってしまう時があるぐらいだ。今日佐奈に会い、久々にそんな事を考えてしまった。

「佐奈、不倫してたんだ…」
佐奈も浮気とか不倫とか無縁の人間だ。それは長い付き合いの中で間違い無いと自信がある。しかしそんな佐奈が不倫をしている事実を知り、今まで抱いていた不倫のイメージが音を立てて崩れ、どこか自分の隙間を埋めてくれる何かを感じるようになっていた。信頼する親友が不倫をあんな幸せそうな顔で口にしていた現実は涼子にとって大きかったのだ。

「不倫…かぁ…。私が岸田さんと不倫…」
頭の中にポッと、隆文とベッドの上で抱き合っている姿が思い浮かぶ。その瞬間、初恋した時のような、胸を突き上げ高揚感に襲われた涼子。この感覚こそ忘れかけていた恋だとすぐに感じた。そして涼子は昼間の佐奈の言葉を思い出し目を閉じる。

「私は、岸田さんが好き…」
そう思った瞬間、まさに生まれて初めて異性を好きになった時のような胸のトキメキを感じたのであった。同時に自分が隆文に対する好意をずっと抑え付けて来ていた事にも気付いた。
「私…、岸田さんの事が好きだったんだ…」

そう気づいた瞬間から、頭の中は隆文でいっぱいになった。隆文の優しさ、誠実さ、そして屈託のない笑顔が頭から離れない。そして抱きたがっている隆文にどうしてうんと言わなかったのか、事務所で2人きりになったあの日、どうして抱かれなかっのか、後悔だけが頭に浮かんだ。

「岸田さん…、私も岸田さんとセックスがしたいです…」
涼子の胸がキュンと締め付けられる。恋する事を忘れていた自分が、今でも恋愛を求めるオンナだと言うことを思い出した。37歳にもなって恋とか笑われるかも知れない。しかし涼子の心と体は間違い無く恋を求めているのであったし、そんな自分を恥ずかしいとは思わなかった。


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