第4章 不倫-10
涼子の中で背徳のイメージしかなかった不倫という行為が変わりつつあった。この胸のトキメキの延長上に隆文とのセックスがあるとしたら、それは間違いなく恋愛に思えてきた。好きになった人とセックスする事が悪い事には思えなくなってきた。不倫は中から見てみないと分からないと言った佐奈の言葉の意味が分かるような気がしてきた。
「佐奈、私、岸田さんとエッチしたいかも…」
夜、佐奈にLINEをしてみた。するとすぐに返事が来た。
「その人の事が信用出来るなら、思い切って飛び込んでみなよ。人生、一回ぐらいは冒険した方がいいよ?ちなみに私は不倫のおかげで毎日楽しいよ?」
「そうなんだ。頑張ってみようかな…」
「いつでも相談に乗るから楽しんでみなよ。私達、まだまだオンナ真っ盛りなんだから!」
「うん。ありがとう佐奈♪」
実際に今不倫をしている佐奈の存在は心強かった。いつのまにか自分はママになっていた。オンナを忘れかけていた自分に最近気づいた。まだまだオンナ真っ盛りだと言っていた佐奈の言葉が妙に心に響く。自分をオンナだと見てくれている男がいるなら、その人の需要に応えてみたい、そう思った。
毎日オナニーがやめられないぐらいに涼子の性欲は強くなっていた。急に湧き上がったというよりも、抑え付けていたものが解放されたような、そんな感じだ。寝る時、ベッドの上で全裸になり姿見を見つめる。
「まだイケるかな…私のカラダ…」
自画自賛ではないがまだまだ男を喜ばせるだけのカラダはしていると思う。まだまだキレイだと思う。隆文をガッカリさせないと思う。涼子は自分の裸を見て、このままもう誰にも撫でて貰えないまま老いていくのは嫌だ、そう感じた。このカラダを思い切り愛して貰いたい…、涼子は隆文を頭に浮かべながらそう思った。
「ハァハァ、私も岸田さんとセックスがしたい…。」
涼子はオナニーをしながら自分なりに宣言してみた。もうこの想いは止まらなかった。あとは誘われた時に頭を縦に降る勇気があるかないかだ。人からは美魔女とか言われて持て囃されているが、実際のところ、今の若い子達に比べると男性経験は圧倒的に乏しい。どうしたら自然に隆文からの誘いを了承しようか悩んでいる。
「でもやっぱり抱かれたい…。ハァハァ、岸田さん!イクッ…!!」
ベッドの上、エクスタシーを迎え、体を小刻みに痙攣させながら隆文を想う涼子の姿があった。
「抱かれたい…、岸田さんに抱かれたい…」
快感に包まれた体だが、もう自分の指では満たされなくなっていたのであった。