第2章 2.5枚目の男。-2
「おはようございます!」
出勤してくると、事務所の前の廊下で涼子に会った隆文はいつものように挨拶する。
「あ、おはようございます!」
そう言ってわざと大袈裟に頭を深く下げて挨拶するのが涼子だ。そして頭を上げた瞬間、肩下まで伸びた黒髪の先がフワッと浮く。
「あー、その髪の毛フワッ、がたまらないです〜♪」
朝からおふざけモードだ。
「また変な事言ってぇ…」
ヤリたい宣言をされてからどうしても意識してしまう。涼子は若干照れ気味だら、
「朝から中村さんの笑顔見ると、今日一日頑張れそうな気がしますー。」
「またそんな事言ってぇ。優子ちゃんにも同じこと言うんじゃないですかー??」
「うん!」
「もぅっ…!」
揶揄われたと思い、思わず照れ隠しで隆文の胸をポンと軽く叩いた。
「あ、これって誘ってます!?」
「ち、違いますよぉ…!」
「なーんだ、とうとうその気になってくれたかと思ったのに♪」
「なりません♪」
「ですよねー。」
「さ、お仕事です!」
「了解!」
涼子は振り返り事務所に入って言った?
(あんな宣言されてから、どうしても意識しちゃうよ…)
ヤリたい宣言をされてからどうも恥ずかしくて仕方がなかった。しかしそう思いながらも隆文との何気ない朝の戯れで表情も気持ちも明るくなっている事に自分では気付いていなかった。
それともう一つ、膝上5センチのスカートから覗く裏モモを見て欲望に駆られた視線の隆文にも気付いていなかった。
(エロいよなー。たまんないよ、中村さんの脚…。)
事務所で椅子に座りスカートが若干ずれ上がりフトモモの半分が露わになる時がある。隆文は密かにいつもそのフトモモを脳裏に焼き付けるかのように見つめていたのであった。
(なんかムラムラするんだよなー、中村さんには。穂花や優子とかからは感じない、なんて言うか、滲み出るエロさがあるんだよなー。やっぱヤリてぇなぁ…)
涼子を見ていつもそう思う。若さにはない女の色気を涼子から感じてしまうのだ?
(あんだけ相談に乗ったりしてカッコつけてる手前、まさか中村さんをオカズにして良くシコシコしてる事、絶対に他の子には知られたくないよな!)
隆文、中身は基本的に三枚目タイプである。経験上、スカしていた方がモテる事を学んだだけで、実際はそんな大した男ではないと自分でも分かっている。事実、40歳を過ぎても会社の事務員でオナニーする事がやめられないどうしようもないエロオヤジなのであった。