未来が見えない(処女、ちょっとホラー)-7
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手のひらで、指先で、唇で、舌で。
習字は玲佳の素肌の全てをくまなく愛撫した。股間を除いて。はじめはくすぐったがっているだけだった玲佳だが、徐々に体の力が抜けてされるままを受け入れ、女の反応を見せていった。透き通るように白かった肌はほんのりと朱を浮かべ、少し冷えていた体は軽く汗を滲ませるほどに温まった。
うつ伏せになっている玲佳の白く豊満な尻を両手でさするように掴むと、習字はそれをジワっと左右に割り開いていった。身じろぎしながら、気怠い声で彼女が尋ねた。
「そんなことしたら、見えちゃうんじゃないの? 後ろから」
「ええ、見えてますよ」
大きな尻に挟まれた深い谷間。その奥に広がる、二つに割れた丘の内側で、二枚の花びらがひっそりと重なり合っている。僅かに褐色がかっているが、ほとんどピュアな桜色で、そこにはまだ誰の手も入っていないことを示している。習字が、ふう、っと息を吹きかけると、可憐な花唇がゾワっと蠢き、一筋の蜜を垂らした。ほぼ準備は出来ているようだが、なにせ相手は処女である。習字は念を入れて仕上げることにした。
「仰向けになってくれますか」
「そこはもういいの?」
これからですよ、と習字が呟くと、玲佳は恥ずかしそうに、けれども期待を込めたような目をして小さく微笑んだ。
ゴロンと仰向けになった玲佳の膝を立てさせる。左右に開いていく。軽い抵抗を感じるが、それは彼女の恥じらいだろうか。静かにしかし確実に、足は開かれていく。
ムッチリと肉付きの良い白い太股が限界まで開ききると、その中心に向かって習字は顔を近づけた。ツンと酸味を感じさせる甘だるい芳香が微かに立ち上ってくる。人差し指と中指をV字型に使って花びらをそっと開くと、桜色の花唇に、やや白濁した粘りの強い露が絡んでいるのが見えた。そこに、ほとんど分からないぐらいの微かな陽炎が揺れた。その部分の火照りが、水分を蒸発させているのだ。
少し上に目を転じると、肉の蕾が眠る鞘が、中身に押されて膨らんでいるのが見える。芽生えはもうすぐだ。
「そんなに見ないでよ」
そう言う玲佳の声は微かに震え、静かな興奮が含まれていた。
習字の指先が、左側の花唇の縁をなぞった。
「あ……」
玲佳の眉根が寄せられ、唇から吐息が零れる。慈しむ様に花びらにそっと触れながら、指先がゆっくりと移動していく。シーツを掴んだ彼女の手に、知らず知らず力が込められていく。
舌を伸ばし、花唇の内側へと沈み込ませていく。玲佳は顔を歪め、声も出せないでいる。蛇行する舌が、秘めやかな女の壺口に触れると、彼女はピクリと腰を浮かせた。
「感じますか」
「う、うん。なんだか腰が蕩けそうだよ。男の人に触られたり舐められるのって、こんなに気持ちいいんだね。エッチを知らないまま死ななくて良かったよ。ありがとう、習字さん」
「どういたしまして。でも、まだまだこれからですよ」
「えー、そうなんだ。ちょっと怖いな」
玲佳は瞳を潤ませ、口元にイタズラっぽい笑みを浮かべた。
習字の舌が動きを再開する。花びらの縁をなぞり、味わうように谷底を舐めながら蛇行し、上へ上へと登っていく。蕾はまだ皮の衣を着たままだった。二本の指で左右へ開きながらグイっと押し上げると、それはチュルンと可愛らしい顔を見せた。取れたての真珠のような鈍い輝きを宿し、恥ずかしそうにプックリと膨らんでいる。
「な、何? 何したの」
玲佳は鞘の上からしかそこに触れたことが無かったようだ。習字は彼女の疑問に答える代わりに、舌の先を使ってその部分が持つ本来のポテンシャルを引き出して見せた。
「んぐはぁ……」
太股をブルっと震わせて身を反り返らせ、玲佳は初めての感触に涙を滲ませた。皮一枚上からしか触られたことの無かったその部分が晒す剥き身は、刺激されることになれていないのだ。
「大丈夫ですか」
「大丈夫、っていうか。痛いような、焼けるような、それでいて、腰が砕けそうな程感じる……」
「女の最も感じやすい部分の一つですよ」
習字は舌を十分に湿らせ、慎重に敏感な蕾に触れた。玲佳は顔を歪ませながらも必死に耐えている。だが、巧みな舌が這い回るうち、堪えきれなくなって腰を逃がそうとした。しかし習字は両太股をガッシリと抱え込んで逃がさない。
「ん、ぐ、ぐぁ……やめ、やめてぇ……」
もちろん習字はやめない。
「やめ、ああ……」
女の潤いが、後から後からとめども無く溢れ始めた。それは渓谷を流れ落ち、野菊の花びらのようなすぼまりにまで達した。玲佳はキツく目を閉じ眉根を寄せて、歯ぎしりせんばかりに顔を歪めている。あまりにも強い快感が、彼女の下腹部を痺れさせ、我を忘れて腰を突き出させていく。習字は先端を舌でつつきながら、唇を使って蕾をついばんだ。
「んあっ、んあっ、ダメ、ダメダメダメ、もうダメぇーーー!」
玲佳の下腹部が細かく震え始めた。それはジワジワと全身に広がり、やがて大きなうねりとなって彼女の腰をガク、ガクガクっと跳ねさせた。
「……っ」
玲佳は、上半身を反り返らせ、半開きの口の端から涎を垂らしながら、ガチン、とその身を硬直させた。ブルブルっと微細な震えが肌の表面を駆け抜ける。
やがて彼女は、ダラリ、と脱力し、肩で大きな息をしながらうっすらと瞼を開いた。
「男の人にイかされるのって、こんなに、こんなに……」
あとはもう、言葉にならない。習字が隣に並んで仰向けに寝転んだ。
「自分でするのもいいけど、悪くないでしょ? してもらうのも」
「悪くない、っていうか、いい、いいよ、すごくいい!」
二人は無言でしばらく天井を見つめた。習字が玲佳の手を握る。彼女は遠慮がちに握り返した。